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梅雨に入り、本格的に雨の降る日が増えた。

今日は母に呼ばれ、久しぶりに車で実家に帰っていたのだが、昼ごはんを食べ終える頃になって、急にどんよりした雨雲が広がってきた。

日中は大丈夫との予報を信じて洗濯物を干して来たのに。仕方なく、雨が降り出す前に慌ただしく実家を出たけれど、残念ながら自宅に辿り着く前に土砂降りになってしまった。

突然の大雨に、カフェやコンビニ、あらゆる庇の下には雨宿りする人の姿。
気の毒だなあ、と車の窓から視線を送ったカフェの軒先に、見覚えのある茶色く丸い頭を見つけた。

そういえば、この辺りは彼の通う学校の近くだっけ。

あきらめ顔で雨を待つ人たちの中で、ただ一人、険しい顔で何度も確認するように空を見上げている。
今にも雨の中に駆け出しそうなその姿に、思わず車を寄せて声をかけた。

「斎藤くん。」
「、、、あ!こんにちは。」

訝しげにこちらを見た後、私に気づいて表情をゆるめた彼は、
制服の肩にギターケースらしきものをかけ、手には通学用とおぼしきカバン。
なかなかの大荷物だ。

「今帰り?」
「いや、今からスタジオです。」
「スタジオ?」
「バンドの練習で」
「へえ!ああ、だから、、。それギター?」
「はい。」
「急いでるの?」
「うん。今日1時間しか予約してないのに、学校出てすぐ足止めくらっちゃって、、。」

やってらんないって様子で肩をすくめる。

「、、、良かったら乗ってく?」
「え? 良いんですか?、、仕事中じゃないの?」
「今日は休みで、どうせ後は家に帰るだけだから。」
「ほんとに?」

さっきまで暗かった顔が、急に明るくなる。
解り易くて可愛いぞ、高校生。

「じゃ、とりあえず乗って。」
「はい。あ、でも。」
そそくさとドアノブにかけた手を、突然止める。

「何?」
「通学途中に、知らないオトナの人に誘われても、車に乗っちゃいけませんって。」

、、、前言撤回。可愛くない。

「、、、、あっそ。じゃあまたねー。」
「わー、待って、待って!!ゴメンナサイ!乗せてください。」

可愛くないセリフを慌てて引っ込め、後部座席に乗り込んだ彼を乗せ、タクシーさながら走り出す。

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星宵(プロフ) - そらさん» はじめまして。嬉しい!ありがとうございます。本質は変わらないと思うけど、今みたいに責任ある立場ではない分、学生時代のギタボ氏は、より無邪気で感情に素直だといいなぁと思いながら書いてます。これからもよろしくお願いいたします。 (2020年10月24日 11時) (レス) id: 5d266fa98e (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - はじめまして。無邪気でかわいくて、すごく癒されてます(^^)ひっそり更新楽しみにしてます…無理なさらず(^^) (2020年10月21日 21時) (レス) id: 70b1605356 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星宵 | 作成日時:2020年10月13日 12時

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