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「どうぞ。あんまり片付いてないけど。」
「、、お邪魔します。」
斎藤さんに招き入れられて、家に上がる。
廊下の先のドアを抜け、キッチン、ダイニングからひと続きになったリビングに通された。
「適当に座ってね。コーヒーで良いかな？」
「あ、はい。お構いなく、、。」
斎藤さんはエアコンのスイッチを入れ、
ローテーブルに置かれたままのカップや紙の束をひとまとめに持ち上げて、
ダイニングテーブルに移動させると、キッチンの方へと向かった。
私は勧められるままソファーに腰かけ、斎藤さんを待つ間、そっと部屋を眺めた。
適度な広さのリビングに目立つのは、テレビやスピーカー、その脇に積まれたCDくらいで、
物が少なく、あまり生活感がない。
ソファの傍らにはギターが一本。
ダイニングチェアの背もたれに、黒いシャツが一枚。
「お待たせ。」
「ありがとうございます。」
差し出された湯気の立つカップを受け取り、両手で包む。
カップから伝わる温もりに、さっきからの緊張が少しだけ緩むのを感じて、
小さく息を吐いた。
斎藤さんは静かに隣に座ると、言葉を選ぶように、ゆっくり話し始めた。
「さっきの続きなんだけど、、」
「はい。」
「俺、よく人当りが良いとか、優しいとか言われるんだけど、全然そんなことなくて。」
「、、、。」
「多分、割と頑固だし、仕事とか、生活とか、、人間関係もかな、、？
自分の中の優先順位があって、その順番を変えるつもりもあんまり無いんだ、、。」
「はい。」
「だから、思い通りにならないものがあっても、
優先順位が低ければ、割と簡単に諦められるし、
無理して追いかけるとかも、してこなかったんだよね。」
「、、はい。」
「ここ何年かは特に仕事が最優先みたいになってて。
、、、それはやっぱり変わらないんだけど、、。」
「、、、。」
「でも最近は、Aちゃんとのビール会の間隔が空くと寂しくて、
強引に予定を入れようとしてみたり、
仕事が終わった後に、ちょっと無理してでも会いに行ったりしてた。」
、、、思いもよらなかった。
いつも『たまたま近くまで来たから寄っただけ』って、
涼しい顔で笑っていた斎藤さんが、
無理して私に会いに来てくれていただなんて。
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星宵(プロフ) - さばさん» はじめまして。嬉しい言葉をありがとうございます。決めていた所まで書くことができたので、ここからは少しゆっくりペースで、お付き合いが始まってからのあれこれを書きたいと思います。引き続きよろしくお願いします。 (2020年7月26日 7時) (
レス) id: 5c7677ac35 (このIDを非表示/違反報告)
さば(プロフ) - はじめまして！いつも更新楽しみにしており、完結してしまうのは少し寂しいです、、、短編のお話楽しみにしてます！！ (2020年7月25日 18時) (レス) id: 640aa79d81 (このIDを非表示/違反報告)
星宵(プロフ) - みもりさん» ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。そろそろ終盤なので、このままの勢いで進めて行きたいと思います。 (2020年7月16日 9時) (レス) id: 9647d822be (このIDを非表示/違反報告)
みもり - 更新ありがとうございます！！！今回も面白かったです！！！ (2020年7月15日 21時) (レス) id: 1232f9590f (このIDを非表示/違反報告)
星宵(プロフ) - みちさん» はじめまして。更新が滞り返信も遅くなってしまい、失礼しました。良かったらまた読んでやってください。 (2020年7月6日 23時) (レス) id: 5c7677ac35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星宵 | 作成日時：2019年6月11日 22時
