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誘いの意図を計りかねて見上げるだけの私の視線を、真っすぐに捉えたまま斎藤さんは続ける。
「変な下心とかじゃなくて。
二人だけで落ち着いて話がしたいんだけど、ここの他に良い場所を思いつかなくて。
話が済んだら、ちゃんと家まで送るから。」
、、、『下心』がなくて、二人だけでする話って何だろう？
少なくとも私には下心があるのに、斎藤さんについて行っても良いんだろうか？
それに、、、。
「さっきの、『都合の良い勘違い』って何ですか？」
「え?」
「なんだか、、、言葉だけ聞いてると、
私の方が都合の良い勘違いをしてしまいそうになります、、。」
「Aちゃん？」
小さく消えていく私の言葉を捕まえた斎藤さんが首を傾げる。
これ以上言ったら、終わってしまうのかもしれない。
でも、、今言わなかったら、もう二度と言うことができないような気がした。
「、、、斎藤さんには下心はないんですか？」
「え？」
「ごめんなさい。
、、、私にはあります。、、下心。」
虚を衝かれたような顔の斎藤さんに
更に言葉を重ねる。
「それって、ど、」
「ホントは随分前からありました。
、、、随分前から下心を隠して斎藤さんに会いに行ってました。
こんな気持ちで、お家に行っても大丈夫ですか？」
ひと息に告げて、前髪に半分隠れた斎藤さんの瞳を覗いた。
「、、、ごめん。」
「、、、。」
「そうだね、こんな風にここまで連れてきたくせに、ズルい言い方だったね。
、、俺にもあるよ。」
あるって何が、、、？
斎藤さんも私と同じ気持ちを持ってくれているという意味で、合ってる？
「一緒に来て欲しい。ちゃんと話をさせて。」
「はい。」
迷いはしなかった。
私の気持ちと斎藤さんが思っていることの、答え合わせをしたい。
ただ、それだけ。
乗り込んだタクシーの中。
行先を告げたきり、斎藤さんは腕を組んだまま黙って窓の外を眺めていた。
私も黙ったまま同じように、反対側の窓から斜め上の空に目をやる。
車がカーブに差し掛かるたびに、少しだけお互いの肘が触れる。
そこから微かに伝わる体温を感じながら、後ろへ後ろへと流れていく空とビルの灯りを見ていた。
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星宵(プロフ) - さばさん» はじめまして。嬉しい言葉をありがとうございます。決めていた所まで書くことができたので、ここからは少しゆっくりペースで、お付き合いが始まってからのあれこれを書きたいと思います。引き続きよろしくお願いします。 (2020年7月26日 7時) (
レス) id: 5c7677ac35 (このIDを非表示/違反報告)
さば(プロフ) - はじめまして！いつも更新楽しみにしており、完結してしまうのは少し寂しいです、、、短編のお話楽しみにしてます！！ (2020年7月25日 18時) (レス) id: 640aa79d81 (このIDを非表示/違反報告)
星宵(プロフ) - みもりさん» ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。そろそろ終盤なので、このままの勢いで進めて行きたいと思います。 (2020年7月16日 9時) (レス) id: 9647d822be (このIDを非表示/違反報告)
みもり - 更新ありがとうございます！！！今回も面白かったです！！！ (2020年7月15日 21時) (レス) id: 1232f9590f (このIDを非表示/違反報告)
星宵(プロフ) - みちさん» はじめまして。更新が滞り返信も遅くなってしまい、失礼しました。良かったらまた読んでやってください。 (2020年7月6日 23時) (レス) id: 5c7677ac35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星宵 | 作成日時：2019年6月11日 22時
