2-S ページ19
、、、来てないか。
着信もメッセージも届いていないことを確認して携帯電話をテーブルに戻す。
彼女からの連絡がないまま2週間が過ぎ、12月になろうとしていた。
「また見てる。」
「え？」
少し離れたソファの上で、同じく携帯を手にした貴雄が言う。
「宏介、今日やたらと携帯チェックしてない？」
「そんなことないよ。」
否定はしたが、空き時間のたびに携帯をチェックしていたのは事実だ。
どうやら、その頻度は貴雄の目を引くほどだったらしい。
「なになに？女でもできたか〜？」
「何ですぐそっちに結びつけるかな。
そんなんじゃないよ。」
「でもなんかソワソワして見えるんだよ。」
「そ？」
「うん。」
「単に飲み会の連絡待ちなんだけどね。」
普段あまりプライベートに立ち入ってこない貴雄の、珍しく興味ありげな様子に釣られて、マジメに返事を返す。
「ふーん、卓球関係？」
「いや、ビール仲間。」
「何ソレ。」
「一緒に美味しいご飯食べてビール飲むの。」
「ふうん。」
「向こうのスケジュール確認待ちの状態が続いててさ。」
「へえ？音楽関係の人？」
「ううん。普通の会社の人。」
「やっぱ女だろ、ソレ。」
「まあそうだけど、そんなんじゃないんだよ。」
ほんとにそんなんじゃない。
待ち合わせてご飯食べてビール飲んで、それだけ。ゆっくり話したのだって、こないだの晩が初めてだし。
ただ、「それだけ」が楽しかったから、次の約束が口をついて出たし、こうやって連絡を待ってもいるのだけれど。
「ほんとかなあ。いつもと違う感じだし、絶対何かが始まったと思ったんだけどな。」
「始まってねえよ。
だいたい来年は周年祝いで忙しいし、それどころじゃないでしょ。」
年が明ければ周年のイベントが目白押しだ。
今年だって12月の後半には先輩バンドの大きなライブにソロで呼ばれてもいるし、恒例の年末イベントもいくつかある。
「まあ確かにそうだけどさ。
でもだったら尚更ゆっくりできるのは今のうちでしょ。自分から連絡してみたら？」
「仕事が忙しいのかもしれないじゃん。」
「それならそう言ってくるんじゃない？
それよりも何か連絡できない事情ができたとかさ。」
「事情って、ど」
「お待たせ〜。続きやろっか？」
別室でスタッフと打ち合わせ中だった田淵が勢いよく扉を開けて入ってきたために、
俺の疑問が貴雄に届くことはなかった。
事情ってどんなだよ、、、？
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星宵(プロフ) - さばさん» はじめまして。嬉しい言葉をありがとうございます。決めていた所まで書くことができたので、ここからは少しゆっくりペースで、お付き合いが始まってからのあれこれを書きたいと思います。引き続きよろしくお願いします。 (2020年7月26日 7時) (
レス) id: 5c7677ac35 (このIDを非表示/違反報告)
さば(プロフ) - はじめまして！いつも更新楽しみにしており、完結してしまうのは少し寂しいです、、、短編のお話楽しみにしてます！！ (2020年7月25日 18時) (レス) id: 640aa79d81 (このIDを非表示/違反報告)
星宵(プロフ) - みもりさん» ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。そろそろ終盤なので、このままの勢いで進めて行きたいと思います。 (2020年7月16日 9時) (レス) id: 9647d822be (このIDを非表示/違反報告)
みもり - 更新ありがとうございます！！！今回も面白かったです！！！ (2020年7月15日 21時) (レス) id: 1232f9590f (このIDを非表示/違反報告)
星宵(プロフ) - みちさん» はじめまして。更新が滞り返信も遅くなってしまい、失礼しました。良かったらまた読んでやってください。 (2020年7月6日 23時) (レス) id: 5c7677ac35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星宵 | 作成日時：2019年6月11日 22時
