your side ページ25
「お前さぁ、ほんとなんでふだんしっかりしてるくせにこういうとこボケてるわけ？」
樹の家のリビングで、私は正座して樹に怒られていた。
水道の契約を忘れていたことに気づき、取り急ぎ申し込んだものの早くても明後日になると言われ、水を飲むこともできずとりあえず樹の家に事情説明にきたのがつい15分前。
「中、入れば」と迎えいれられて物が全然ないリビングにくると、「で、どういうこと？」と淡々と説明を求められ、ソファに腰掛けて事情を説明する。
北斗くんと撮影で一緒になって一人暮らしすることを伝えたら、このマンションをおすすめされたこと。
さっき電話して聞いたら、知っててこのマンションを紹介したこと、でもまさか隣になるとは思ってなかったこと。
「そういうわけで、わざとじゃなくて、事故なんです…」
「事故ねぇ」
「そ、それより聞いてよ！私も驚いて喉乾いたから水道ひねったら水出なくて、水道の契約忘れちゃってたんだよねぇ。こっちの方が事件じゃない？」
笑い話にすり替えようと「ね？」と笑いかけると、さっきまで険しかった表情から一変して呆れた顔の樹。
「ね？じゃねぇよ。じゃあお前の家、水でないの？トイレは？風呂は？」
「まだ、そこまで考えられてません…」
「おま….。ほんと呆れて物も言えねぇわ…。で、どうすんの？」
私が返事に困っていると、樹は右手で頭をくしゃっと抱え、ちょっとそこ座れ、とカーペットに正座させられる。
「俺が隣に住んでなかったらどうなってた？」
「うーん…、お兄ちゃん家に帰る？」
「まぁ、その手はあるけど！お前さぁ、ほんとなんでふだんしっかりしてるくせにこういうとこボケてるわけ？
…はぁ。うちのトイレと風呂使っていいから、後で着替え持ってくれば」
「え、いいの？」
「外も寒くなってきたし、またしょっぴーの家行くのも遠いだろ」
なんだかんだブツブツ言いながら、私を気遣ってお茶を出してくれる樹は優しくて、久しぶりに見たメガネに部屋着姿も含めてちょっとキュンとしてしまう自分がいる。
……そんなのバレたら、反省してないってまた怒られそうだけど。
「…なんか呆れて隣に引っ越してきたのとかどうでもよくなってきたわ…。…ちなみに、北斗他に何か言ってた？」
「他にって？」
「いや、たとえば、俺がどうとか」
「樹のこと？何も言ってなかったよ？」
「そ。ならいいや」
頭にはてなを浮かべながら、出してもらったお茶を一口、口に含む。
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れい(プロフ) - 一話から一気読みさせていただきました！いいお話で止まりませんでした結婚後のお話が気になります。もしよろしければ検討していただけると幸いです 応援してます (2022年3月29日 7時) (
レス) @page35 id: f9c3ff90c4 (このIDを非表示/違反報告)
海音(プロフ) - 最初っから、一気読みしました！めちゃくちゃいいお話で読んでて楽しかったです。番外編とかあったら嬉しいです（結婚後の話とか......） (2022年1月14日 22時) (レス) @page35 id: 010e9e616c (このIDを非表示/違反報告)
じゅ(プロフ) - ラストは、はぁ(*ﾟ∀ﾟ)=3とため息出るくらいキレイなラストでした！ (2022年1月3日 14時) (レス) @page35 id: fc4aecf63b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紗々 | 作成日時：2021年11月15日 21時
