佐木くんの恋人 (ページ3)

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お前…強ぇじゃんページ3

金田一先輩に背中を押されてここまで来たけれど…。
弱虫なぼくの足は震えるいっぽうだ。

焦る気持ちで気づかなかったけど、
今までいたはずのイケてる先輩の姿はなくて、そこには三人の先輩に囲まれて腕を引っ張られてあるこはるちゃん、ただひとりだ。

ぼくは震える足と拳にギュッっと力を入れてその場所に一気に近づいた。

佐「な、なにしてるんですか、嫌がってるじゃないですか」

男「は？なんだよ、お前。1年か？」

『さ、佐木くんっ』

ぼくは、こはるちゃん前に立った。

男「どけよ、メガネ」

佐「ど、どきません」

ジリジリと詰め寄ってくる先輩に、
力でなんて到底勝てない。話をしたってどうせ聞き入れてくれるはずない。そう判断したぼくは、ぐっとこはるちゃんの手を掴んで、

佐「こはるちゃん、い、行きましょう」

その場から離れようと歩き出したら、後ろから待てよって大きな声が聞こえて、ぐぐっと肩を掴まれて振り向いたら、今までに感じたことのない痛みが…頬に。

ドタって地面に倒れこんで、ズキズキとする頬の痛みに、あぁ殴られたんだって気づく。

『さ、佐木くん…！』

倒れるぼくにこはるちゃんが駆け寄ってきてくれたけど、さらにぼくは胸ぐらをぐわんって掴まれて、また殴られるのをギュッと目を閉じて待っていると、遠くから、

金「せんせー！こっちこっち！はやくー！」

その声を合図にやばいやばいって先輩三人は走って逃げていった。

そんな先輩の姿を目で追っていたら、金田一先輩が走ってぼくの元へときてくれた。

佐「先輩…」

金「佐木！大丈夫か？立てるか？」

佐「はい…」

金田一先輩が肩を貸してくれて立ち上がる。

金「お前…強ぇじゃん」

佐「…。」

そんなこと言ってくれる先輩に、なぜか泣きそうになった。

金「ほらこはる、もう泣くな。佐木が助けてくれたから大丈夫」

こはるちゃんを見るとボロボロと目から出る涙を一生懸命拭うっている。それをみた金田一先輩がポンっとこはるちゃんの頭を撫でる。

金「こはる、佐木怪我してるから保健室まで頼むな？」

涙を拭いながら、コクコクとうなづくこはるちゃん。

金「よし、じゃぁ俺は教室に戻る」

佐「あれ？先輩、先生は…」

金「あ？あーあれ嘘」

佐「う、嘘？」

金「いえす」

ひらひら手を振って教室に戻る先輩を見つめていると、キュッと控えめに腕を掴まれた。

『佐木くん…いこ？』

こくりとぼくは頷いた。