白うさぎと日常。【名探偵コナン】 (ページ24)

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Story 341 ページ24

家に帰って、久しぶりに手帳に書き込みでもしようかな、と思った時。

「……あ、手帳がない」

待って待って待って！

どうしようアレあたしの企業秘密！
あの中見られたら大変なんだけど！

待ってよ、朝はカバンに入れてたよね。
んで、お店では触ってない……あ、休憩中にスケジュール見てたわ。

んで、帰りまで触ってないし……。帰り道で落とした記憶もない。

ってことは……。店か。

あたしはそう思って急いでポアロに駆け戻った。

いつも歩いてくる距離だけど、今は小雨が降っている。
しかも地面はアスファルトで濡れてるから走りづらい。

まぁ忘れ物したあたしが悪いんだけど。

急いでポアロに来ると、まだスタッフルームに電気が点いていた。

ドアは少し開いていて、薫さんと零兄が話をしていた所だった。

微かに聞こえて来る話し声。

聞き取ることはできないけど、薫さんが零兄に何か質問をしているようだった。

(何の話……？)

聞きたいけど、言葉が途切れ途切れで何を言ってるか分からない。

あたしが出るタイミングを失っていると、一瞬だけクリアに聞こえた。

「……じゃあ、次」

え？何が次なの？

あたしがきょとんとしていると、薫さんは零兄の胸ぐらをぐっと掴み、自分に引き寄せる。

そして──キスをした。

あたしの心臓が嫌な音を立てるのが分かった。

「……零が好き」

ああ……。やっぱり薫さんは零兄が好きだったんだ。

あたしはその場からダッと逃げ出した。

涙が後から後から溢れ出てくる。

あたしの胸はズキズキと音を立てて痛んでいた。

ポアロの裏口から飛び出すと、外はさっきの小雨が嘘のように土砂降りに戻っていた。

あたしはその雨で涙を隠すように走った。走って走って、息が切れても走った。

やがて体力が切れ、あたしはコンクリートの塀に体をもたれさせた。

「うっ……うぅ」

零兄が他の女の人にキスされてる。それだけでこんなに辛いなんて。

あたし、零兄のことが──

と、あたしに打ち付ける雨が止んだ。見ると、安いビニール傘。

「何やってんだよ、風邪引くぞ」

「陣平兄……」

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