白うさぎと日常。【名探偵コナン】 (ページ15)

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Story 332 ページ15

「ねぇ、安室さんと薫さん、喧嘩でもしてるの？」

そう問われたのは昼下がりのカウンター。

アイスコーヒーにレモンパイを合わせて食べるコナン君に言われたのだ。

あたしは2人が店にいないのをいいことに、クスッと笑って洗い物の手を止めた。

「そうみたいね。何で喧嘩したかなんて聞いてないけど」

まぁ、喧嘩するほど仲が良いっていうしね。
そう言ってまた洗い物を再開すると、コナン君が不意に尋ねてきた。

「……でも、A姉ちゃんはそれで良いの？」

あたしは皿洗いの手を止めた。しばしの沈黙が流れ、さすがに気まずくなった時。

「なぁに～、Aちゃんあたしの話ぃ？」

「か、薫さん!? びっくりさせないで下さいよもう……」

後ろから抱きついてきた薫さん。
彼女はあたしがびっくりしていると、「フフ、ごめんね」と大人っぽく笑ってウインクした。

「で、喧嘩の原因だっけ？料理の話で意見が食い違っただけよ」

「「……は？」」

あたしとコナン君の声が見事に揃う。

薫さんは「いやー、大人気ないでしょ？」と苦笑いした。

「昨日透から電話来て、飲みに行こうってなって。最初は料理の話をしてたのよ、普通に。それがだんだん意見が食い違ってきて、お互い頑固だから譲らなくって。それで喧嘩」

「すごくくだらない話ですね」

「でしょ？そんな物よ、喧嘩なんて」

そう言って笑う薫さんはやはり大人だ。

「それにしても」薫さんはターゲットをコナン君に変えたらしく、ニヤリと獲物を見つけたような目で彼を見た。

「小学1年生がアイスコーヒーなんて飲むのねぇ」

それにあからさまに慌てふためくコナン君。いつかバレるよそんなんじゃ。

と、あたしの横──薫さんとは逆側から声が聞こえた。

「コナン君は味覚が大人びているんですよ。ねぇAさん」

そこには、スーパーの買い物袋を下げた安室さんがいた。

薫さんが「げ」と顔をしかめる。

「……あたし用思い出したから帰る」

あたしはコナン君を庇うために話の軌道を逸らした。

「コナン君、ウチでお茶飲もっか」そう提案してあげれば、助かったと言わんばかりに大きく頷く。

「じゃあ、お先に。……くだらないことで喧嘩してないで、さっさと仲直りしてよね」

最後に零兄の耳元で囁いてから、あたしは安室さんにエプロンを投げつけた。