白うさぎのその後。2【名探偵コナン】

◆ ページ30

「上がりっと」

「あ゛!? 緑川1位かよ！」

「悪いな松田、王者の座は譲ってもらうよ」

「くっそ、絶対ビリにはなれねぇな」

「緑川と新婚ごっこはしんどいよな〜」

「萩原よく言った」


結局、最初に上がったのは陽彩兄。ジョーカーは未だにあたしが持っている。


「……あっ」


薫さんの目が丸くなり、直後にパッと明るく笑った。
あたしは嫌な予感がしながらも尋ねた。


「まさか薫さん上がりですか!?」

「そーよん♪ごめんねAちゃん、あとよろしく♡」

「そんなぁ……」


あたしはがくりと頭を垂れた。

ババ抜きで決着をつけようとしたあたしがバカだった。カードゲーム系は運次第。そしてあたしの運はこういう時に限って発揮されない。


「よっしゃ、上がりだ！」

「あっ松田！」


最後はあたしと研二兄の一騎打ち。研二兄は残り1枚、あたしはジョーカーともう1枚のみだ。
今度は研二兄が引く番。つまり、これで合えばあたしの負け。

研二兄の手はジョーカーに伸びた。けど、寸での所で研二兄は隣のカードを取った。


「あっがり〜」

「あーもうっ！研二兄のバカバカバカ！」


むぅっと頬を膨らませると、陣平兄がポンとあたしの頭を叩いた。


「じゃあ約束だし、緑川と新婚ごっこだな」

「……新婚ごっこって何すればいいの」


膨れっ面で尋ねると、薫さんがニヤニヤしながら答えた。


「行ってらっしゃいのチュウとか？」

「はっ!? そ、そんなことできるわけないでしょぉ!?」

「冗談よ。でも、旦那が帰って来た時に『お風呂にする？ご飯にする？それともわ・た・し？♡』って言うのは有名よね……」

「有名なんですか……？」

「よく知られてるってことね。それならやってもいいんじゃない？」


薫さんが綺麗にパチンとウインクする。あたしはふぅっとため息をついて、陽彩兄の前に立った。



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