Story 231 ページ8
部屋に戻る最中、あたしは誰かとすれ違いざまに軽くぶつかってしまった。
「あっ、ごめんなさい」
「いや、こちらこそ……ん?」
「え?……あ」
あたしは一瞬固まった。
「……何でここにいるんだ、A?」
「……それはこっちのセリフなんだけど」
あたしは「ちょっと先行ってて」とみんなに言い残し、彼──陽彩兄と廊下に残った。
「……何してるの?」
「……まずはお前が言うべきじゃないか?」
「むぅ。……世良ちゃんにミステリートレインのパスリングが余ってるから行かないかって誘われたのよ」
「君はこの列車で何が起こるか知ってるだろ?」
「知ってるわよ。でもあたしは作戦を何も聞いてないから基本的に動かないわよ」
「そういうことじゃない。……零にバレたらどうなることやら……げ」
「誰に何がバレるって?」
「うわっ」
いきなり首根っこを引っ掴まれて、宙に浮いた。
掴んだ相手を見ようと首を回すが、体ごと動いてしまい見るに見れない。
だが、陽彩兄のため息と呆れ顔で分かった。
「……零兄?」
「零兄?誰ですそれは?」
あー多分安室さんだ。←
あたしは首根っこを引っ掴まれたまま、陽彩兄の部屋に移動した。
パタンとドアが閉まり、盗聴器の有無を確認すると、零兄はふぅと息をついた。
「……何でAがここにいる?」
「さっきも訊かれた気がする」
「何でいるんだ、と訊いてるんだが」
あたしは仕方なく、先程陽彩兄に話したことをもう一度話した。もちろん陽彩兄と同じことを言われたけど。
「……で、次はあたしの番。何で2人が揃ってるの?」
そう問うと、2人はバツが悪そうに黙り込んだ。
「……零兄は分かるよ、組織の仕事でしょ。ベルモットと組んでシェリーを殺しに来たって」
でも陽彩兄は何で?あたしが首を傾げると、零兄が答えてくれた。
「シェリーを殺すフリをして公安で保護しようと思ってな。彼女を連れ出すためにヘリを用意したり、協力も必要だったからな」
「それで陽彩兄も連れて来たってわけ?」
「ああ。まぁ、一緒に行動はできないけどな」
と、零兄はじっとあたしを見つめた。
「……お前達は…… “バーボン” をどう欺くつもりだ?」
「ノーコメント。あたしは何も作戦聞いてないし。それに、あんまり組織に関わりたくないしね」
「……ならいいけどな」
「安心した?」
ふふっと笑うと、零兄はため息をついた。
「……さぁな」
「あ、はぐらかした」
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おーにし(プロフ) - 月姫@日向うさぎさん» うふふ、アリスといえばうさぎなので笑笑 嬉しい限りです笑 (2017年8月10日 16時) (レス) id: 0c53be3934 (このIDを非表示/違反報告)
月姫@日向うさぎ(プロフ) - おーにしさん» 応援してます。ペンネームが、うさぎなので、親近感わきまして笑 読みました笑 (2017年8月10日 16時) (レス) id: 92a3be2260 (このIDを非表示/違反報告)
おーにし(プロフ) - 月姫@日向うさぎさん» ありがとうございます!なかなか恋愛が絡ませられなくて大変ですが、頑張ります!笑 (2017年8月10日 16時) (レス) id: 0c53be3934 (このIDを非表示/違反報告)
月姫@日向うさぎ(プロフ) - はじめまして。一気読みしました!続きを楽しみにしています。よろしくお願いします! (2017年8月10日 15時) (レス) id: 92a3be2260 (このIDを非表示/違反報告)
おーにし(プロフ) - かすみさん» いえいえ、ありがとうございます!ぜひ呼んでやってください笑 続編頑張ります!ありがとうございます!(2回目) (2017年8月6日 23時) (レス) id: 0c53be3934 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おーにし | 作成日時:2017年8月2日 11時