Story 227 ページ4
その頃、車掌が常連らしい眼鏡の男に声をかけていた。
「これはこれは安東様。お荷物お持ちしましょうか?」
「お構いなく、結構重いですから。まぁ重いのは純金の額縁だけで、絵の方は贋作でしたけどね……」
眼鏡の男……安東諭は8号車のC室乗客。
絵の鑑定が済んだので名古屋にいるクライアントに返しに行くのだそう。
「おや?これは行き先不明のミステリートレイン。どうして名古屋に行くと?」
「おいおい……」
口調の違う声。見ると、強面の男と目付きの鋭い女が立っている。
「車掌さん……何年我々と顔を突き合わせているんだね?」
「そんなの今日どの列車に運転時刻の変更があるかを調べれば察しはつくんじゃなくて?」
男は能登泰策、女の方は出波茉利。能登は8号車のA室の乗客、出波は8号車のE室の乗客だ。
そして近くにいた車椅子に乗った老婆・小蓑夏江が話に加わる。
小蓑とメイドの住友は8号車のD室乗客だ。
「我々の知的興奮の矛先は……車中で生じるミステリーのみ。ですわよね?住友さん」
「はい、奥様」
そんな彼らに、車掌は「おみそれしました!」と感嘆の声を上げていた。
と、顎髭を生やした太った男が声を荒げた。
「おい!! どーなってんだ!?俺は確かに1等車であるこの8号車のいつもの部屋を予約したのに……何で7号車に変わってんだよ!?」
太った男は室橋悦人、7号車のB室乗客。
どうやら予約がダブルブッキングしてしまったらしく、室橋の部屋を変更する、と連絡を入れていたらしい。
「どこのどいつだ!? 割り込んで来やがったのは!?」
「ここのコイツですよ……」
「え?」
その場にいた全員がそちらの方を向いた。
「いやぁ、すみませんねぇ……。ウチの娘がこの列車のオーナーの友人でして……」
彼は自分のチョビヒゲを手直ししながらそう言う。
「まぁ私が乗るからにはご安心あれ。この列車内でいかなる事件が起きようと……この名探偵毛利ポア郎が、立ち所に解き明かして御覧に入れますから!」
小五郎はライターでタバコに火をつけながら言った。
そこへ蘭とコナンが駆けつける。
「何してんの?ここ禁煙だし、お父さんは毛利小五郎でしょ?」
蘭が呆れた声を向け、小五郎のタバコの火を消した。
「ホーラ!6号車の前で探偵団の子供達待ってるよ!出発前にみんなで写真撮ろうって!」
そう言って蘭は小五郎を無理やり連れて行った。
その後ろ姿を乗客達は意味深な顔でじっと見つめていた……。
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おーにし(プロフ) - 月姫@日向うさぎさん» うふふ、アリスといえばうさぎなので笑笑 嬉しい限りです笑 (2017年8月10日 16時) (レス) id: 0c53be3934 (このIDを非表示/違反報告)
月姫@日向うさぎ(プロフ) - おーにしさん» 応援してます。ペンネームが、うさぎなので、親近感わきまして笑 読みました笑 (2017年8月10日 16時) (レス) id: 92a3be2260 (このIDを非表示/違反報告)
おーにし(プロフ) - 月姫@日向うさぎさん» ありがとうございます!なかなか恋愛が絡ませられなくて大変ですが、頑張ります!笑 (2017年8月10日 16時) (レス) id: 0c53be3934 (このIDを非表示/違反報告)
月姫@日向うさぎ(プロフ) - はじめまして。一気読みしました!続きを楽しみにしています。よろしくお願いします! (2017年8月10日 15時) (レス) id: 92a3be2260 (このIDを非表示/違反報告)
おーにし(プロフ) - かすみさん» いえいえ、ありがとうございます!ぜひ呼んでやってください笑 続編頑張ります!ありがとうございます!(2回目) (2017年8月6日 23時) (レス) id: 0c53be3934 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おーにし | 作成日時:2017年8月2日 11時