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Story 1 ページ2

「いやぁっ……!」


荒い息が耳につく。カーテンから微かに漏れる光が朝と知らせてくれる。


「……夢、」


あたしはちらりとサイドテーブルを見やった。

テーブルの上にあるのはワルサーPPK。
──そういえば、昨夜は仕事で暗殺したんだっけ。


「頭痛い……」


あたしはゆっくりベッドから降り、洗面所に向かった。
パシャパシャと顔を洗い、鏡を覗き込む。


「……ひどい顔」


悪夢を見ていたからか、顔色は青白く目の下には隈ができている。

クリームとファンデーションでどうにか誤魔化そう。

あたしは部屋に置いてある冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して飲んだ。
少し頭が冷える。気がすむまで水を飲むと、あたしは素早くブラウスに袖を通した。


「……暗殺、慣れないなぁ」


10年前の火事の後、あたしは組織から逃げ出すことはしなかった。
外に逃げても生きる保証はないし、それに──


「ごめんね……あたしの居場所は生まれた時から組織(ココ)しかないの」


ごめんね。あたしは部屋に飾ってある両親の写真に呟いた。


青白い顔をなんとか誤魔化し、あたしはソファーに座り込んだ。


……暗殺の仕事を終えると、必ずその日の夜に悪夢を見る。

両親と、コニャックが死んだ時の夢。

あたしはあの時から、感情を表に出すことを自らに禁じた。
情に流される弱さ、甘さ。それがあたしの弱点だと思ったから。

感情を殺してしまえば、どんなに(むご)い任務だろうとやり遂げられる。


……もう、真っ白で綺麗なアリスではないのだから。


.

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おーにし(プロフ) - 苺デラックスさん» ありがとうございます!掛け持ちの “その後シリーズ” もあるので、更新は遅れてしまうかもしれませんが……頑張ります! (2018年4月24日 6時) (レス) id: 1c4bcc000c (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - 面白いです!!更新頑張ってください! (2018年4月23日 22時) (レス) id: e851a42e9b (このIDを非表示/違反報告)
おーにし(プロフ) - 和美/美香さん» ありがとうございますー!ちょっと私生活が多忙でして、なかなか更新はできませんが……頑張ります! (2018年4月18日 17時) (レス) id: 1c4bcc000c (このIDを非表示/違反報告)
和美/美香 - 初めてまして、続き頑張って下さい。続き早く見たいです←wkwk (2018年4月17日 21時) (レス) id: 1f2c06e01c (このIDを非表示/違反報告)
おーにし(プロフ) - 無気力零架さん» わーありがとうございます!わざわざ飛んで来てくださったんですね笑 警察学校組、出て来ます!応援ありがとうございます、なるべく早く更新できるよう頑張ります! (2018年3月31日 21時) (レス) id: 0c53be3934 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おーにし x他1人 | 作成日時:2018年3月31日 11時

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