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Story 6 ページ8

自分から説明すると言ったのに、勝手に家のチャイムを鳴らされた。

やがて出てきたのは有希子さん。いきなり若い男が5人もいたからか、びっくりしている。


「あら、Aちゃん!どうしたの……ってあら!怪我してるじゃない!」

「有希子さん、大げさすぎ……。こんなの大したことないのに」

「そのことなんですが、この子の怪我について少しお話が……」


伊達さんがあたしを有希子さんに渡し、降谷さんが話を切り出した。

それから先ほどの人質事件のこと、家に警察が事情聴取に来ることなどを説明すると、有希子さんはぺこりと頭を下げた。


「この子を助けてくれてありがとう!Aちゃん、ちゃんとお礼言って!」

「う、うん……」


あたしはは戸惑いつつも頷く。


「助けてくれて、ありがとう……?」


そう言うと、5人はフッと笑ってそれぞれにあたしの頭を撫でた。

と、松田さんがいきなり口を開いた。


「……あ、そうだA」

「?」

「携帯出せ」

「……カツアゲ?」

「違げーよ!いいから出せ!」


あたしは有希子さんに視線を向ける。有希子さんはニコッと笑ってあたしを地面に下ろした。


「……はい」

「サンキュ」


松田さんはものすごい速さで携帯の画面をタップした。

指先が器用って言ってたけど、大概だな。


「ほらよ」


返された携帯には、登録した覚えのない5つの連絡先。


「俺達の連絡先だ。まぁ、俺達は将来警察になる身だからなかなかマメに連絡は出来ねぇが……。疲れた時の話し相手くらいにはなってくれよな」

「……疲れてるのに話すの?変な人」

「まぁいいじゃねぇか。たまには癒しが欲しいモンさ」

「……癒し?」


あたしはきょとんとした。癒しの意味が分からないのではなく、あたしと話して何に癒されるのか、だ。


「……本当、変な人」


あたしはくすっと笑う。


じゃあな。もう無茶するなよ。そんなことを口々に言いながら5人は帰って行った。


「もう、Aちゃんたら!隅に置けないんだから〜」

「有希子さん……それはどういう意味ですか」

「あんなイケメン達とお近づきになれるとかずるーい!」

「いや、有希子さんには優作さんという立派な旦那様が……」

「優ちゃんはべ・つ!」


あたしは思わずため息をつきそうになった。

……さて。あと数年──あたしが小学校4年生になる頃には、あの事件が起きる。

絶対に止めなくちゃ……。だって、それはあたしにしか出来ないことだから。

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おーにし(プロフ) - 零大好き(*´ー`*)さん» ありがとうございます!降谷さんをカッコよく書けるよう精進してまいります(^^) (2018年4月21日 19時) (レス) id: 1c4bcc000c (このIDを非表示/違反報告)
零大好き(*´ー`*) - めっちゃ面白いです。降谷零が好きなのでいいですね! (2018年4月20日 21時) (レス) id: 99bad809e9 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - おーにしさん» いえいえ、こちらこそすいません。m(_ _)m (2017年10月5日 8時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
おーにし(プロフ) - 零音さん» そうなんですよ。ご心配おかけしてすいませんでした (2017年10月5日 6時) (レス) id: 0c53be3934 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - おーにしさん» はい、そうです。結構似ていたので、偶然似てしまっていたんですね。 (2017年10月5日 1時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おーにし x他1人 | 作成日時:2017年5月14日 0時

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