Story 42 ページ44
お土産を渡し終え、あたしはポアロに向かった。
カランカラン、とドアベルが小気味よく鳴る。
「すみません、先ほどバイトの件でお電話させていただいたAですけど……」
「!あなたがAさんね?ちょっと待ってて、今店長呼んでくるから!」
言うなりロングヘアーの若い女性が奥に消える。
しばらくしてから彼女と一緒に出て来たのは中年の男性。
「やぁ、君がバイト希望のAさんだね?」
「は、はい!」
「学校とかは平気なのかい?」
「あー……。お恥ずかしい話、あたしアメリカで大学まで出てるんで……。日本の高校は通わなくてもいいかなって」
そう言うと、店長はカッと目を見開いた。「ひっ」とあたしは情けなく声を上げてしまう。
「採用!」
「……え」
「頭もいいし、ルックスも問題ない!その年で大学まで行けるってことは飲み込みが早いってことだからかなり使える!よって採用!」
「……ありがとうございます?」
「じゃあ梓ちゃんに色々教わってくれ!僕はしばらくポアロには来れないから」
「あ、ハイ」
あたしは店長の強烈なキャラに押されつつも頷いた。
「……どうだったバイトは?」
仕事内容を頭に叩き込んでから家に帰ると、新一が書斎でコーヒーを飲んでいた。
あたしも紅茶を淹れて新一の隣に腰掛ける。
「……採用されたけど……店長のキャラが濃くて……」
「あー……。ポアロの店長はなー……」
何でポアロにしたんだよ?
そう訊かれ、あたしはうーんと唸った。特にこれといった理由はない。
「……何でだろ」
「オイ」
「でも、喫茶店って働いてみたかったんだよね」
「夢叶ったじゃねーか」
「これが夢とかショボすぎない?新一……」
「いやオレの夢じゃねーし」
「じゃああんたの夢は何よ?」
「平成のシャーロック・ホームズになること」
「……」
「オイ今『うわ中二病……』とか思っただろ!」
「え、何で分かるの」
「顔に出てるっつーの!何年一緒にいると思ってんだよ」
新一はニヤッと笑う。
あたしは軽くため息をついて、本棚にある推理小説を適当に2、3冊取り出した。
「……そーいえば、蘭とトロピカルランド行くんだって?」
「あ?あー、まぁな。アイツが空手の都大会で優勝したらだけどな」
「いいじゃない。あ、お土産よろしく。可愛いストラップがいいな」
「オメーそんな趣味あったのかよ?」
ムカついたから新一をとりあえず3発くらい拳骨で殴っておいた。自業自得だ。
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おーにし(プロフ) - 零大好き(*´ー`*)さん» ありがとうございます!降谷さんをカッコよく書けるよう精進してまいります(^^) (2018年4月21日 19時) (レス) id: 1c4bcc000c (このIDを非表示/違反報告)
零大好き(*´ー`*) - めっちゃ面白いです。降谷零が好きなのでいいですね! (2018年4月20日 21時) (レス) id: 99bad809e9 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - おーにしさん» いえいえ、こちらこそすいません。m(_ _)m (2017年10月5日 8時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
おーにし(プロフ) - 零音さん» そうなんですよ。ご心配おかけしてすいませんでした (2017年10月5日 6時) (レス) id: 0c53be3934 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - おーにしさん» はい、そうです。結構似ていたので、偶然似てしまっていたんですね。 (2017年10月5日 1時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おーにし x他1人 | 作成日時:2017年5月14日 0時