検索窓
今日:65 hit、昨日:239 hit、合計:1,318,803 hit

Story 37 ページ39

グラリ。

男の体が横に傾いた。咄嗟に動いたのは蘭。

消音器(サイレンサー)は下に落ちて行った。


「何してるの!? 早く私の腕に掴まって!」


あたしは蘭が掴んでいる男の腕を掴んだ。すぐに新一もあたし達に加勢してくれる。


「くそっ……世話の焼ける奴だぜ……」


あたし達3人で通り魔を支えていると、男は近くの手すりを掴んでくるりと廻った。

そしてあたし達から距離を取るように着地する。


男は口に咥えていた銃を離し、あたし達に問いかけた。


「ど、どうしてだ?どうして俺を助けた?一体どーして!?」


男は本気で分からないようだった。

それもそうだ、彼は自分たちの命を奪おうとした犯罪者。死にそうだったからと言って、助ける義理もないはず。


だが新一はフッと悲しそうに笑った。


「わけなんているのかよ?」


と。通り魔はそれを聞いて目を見開いていた。


「人が人を殺す理由は知ったこっちゃねーが……。

人が人を助ける理由に……論理的な思考は存在しねーだろ?」


新一は倒れてしまった蘭を抱え、先にビルを出て行った。

その隙をついて男は銃を2人に向けていたが、それをあたしが止める。


「止めといた方がいいわよ……」


男はハッと何かに気づいた顔をした。


「手負いってことは追っ手がそばにいるってこと……。消音器(サイレンサー)もなしに銃を撃てば、あなたを追っている人たちが駆けつけるのも時間の問題なんじゃなくて?

まぁ、あたしはあなたを捕まえる権限はないから……。とりあえず動かないでね?」


あたしは懐からハンカチを取り出して引き裂いた。互い違いに引き裂けば長い包帯がわりになる。


腹の傷の止血をするのだ。これでは失血死してしまう。


「これに懲りて、悪いことは止めることね。新一は地獄の底まで追ってくるから」

「…………俺を怖く思わないのか?」

「じゃあ逆に聞くけど。何で怖く思うの?傷ついた人助けるのは普通なのに」


あたしは男に聞かれたことにさらりと答える。


「はい、出来た。これでもう大丈夫だと思う」

「……悪いな」

「お互い様。じゃあね、シャロンさん」


あたしは最後に1つだけ爆弾を落とした。

「あたしはあなたの正体を知っている」

そう伝えるために。


でも──今思えば、それがよくなかったのかもしれない。

あたしは後ろで聞こえる女性の声に気づかず歩いて行った。


-------------------------


ページ色々変えました

Story 38→←Story 36



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (337 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
934人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

おーにし(プロフ) - 零大好き(*´ー`*)さん» ありがとうございます!降谷さんをカッコよく書けるよう精進してまいります(^^) (2018年4月21日 19時) (レス) id: 1c4bcc000c (このIDを非表示/違反報告)
零大好き(*´ー`*) - めっちゃ面白いです。降谷零が好きなのでいいですね! (2018年4月20日 21時) (レス) id: 99bad809e9 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - おーにしさん» いえいえ、こちらこそすいません。m(_ _)m (2017年10月5日 8時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
おーにし(プロフ) - 零音さん» そうなんですよ。ご心配おかけしてすいませんでした (2017年10月5日 6時) (レス) id: 0c53be3934 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - おーにしさん» はい、そうです。結構似ていたので、偶然似てしまっていたんですね。 (2017年10月5日 1時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おーにし x他1人 | 作成日時:2017年5月14日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。