Story 37 ページ39
グラリ。
男の体が横に傾いた。咄嗟に動いたのは蘭。
「何してるの!? 早く私の腕に掴まって!」
あたしは蘭が掴んでいる男の腕を掴んだ。すぐに新一もあたし達に加勢してくれる。
「くそっ……世話の焼ける奴だぜ……」
あたし達3人で通り魔を支えていると、男は近くの手すりを掴んでくるりと廻った。
そしてあたし達から距離を取るように着地する。
男は口に咥えていた銃を離し、あたし達に問いかけた。
「ど、どうしてだ?どうして俺を助けた?一体どーして!?」
男は本気で分からないようだった。
それもそうだ、彼は自分たちの命を奪おうとした犯罪者。死にそうだったからと言って、助ける義理もないはず。
だが新一はフッと悲しそうに笑った。
「わけなんているのかよ?」
と。通り魔はそれを聞いて目を見開いていた。
「人が人を殺す理由は知ったこっちゃねーが……。
人が人を助ける理由に……論理的な思考は存在しねーだろ?」
新一は倒れてしまった蘭を抱え、先にビルを出て行った。
その隙をついて男は銃を2人に向けていたが、それをあたしが止める。
「止めといた方がいいわよ……」
男はハッと何かに気づいた顔をした。
「手負いってことは追っ手がそばにいるってこと……。
まぁ、あたしはあなたを捕まえる権限はないから……。とりあえず動かないでね?」
あたしは懐からハンカチを取り出して引き裂いた。互い違いに引き裂けば長い包帯がわりになる。
腹の傷の止血をするのだ。これでは失血死してしまう。
「これに懲りて、悪いことは止めることね。新一は地獄の底まで追ってくるから」
「…………俺を怖く思わないのか?」
「じゃあ逆に聞くけど。何で怖く思うの?傷ついた人助けるのは普通なのに」
あたしは男に聞かれたことにさらりと答える。
「はい、出来た。これでもう大丈夫だと思う」
「……悪いな」
「お互い様。じゃあね、シャロンさん」
あたしは最後に1つだけ爆弾を落とした。
「あたしはあなたの正体を知っている」
そう伝えるために。
でも──今思えば、それがよくなかったのかもしれない。
あたしは後ろで聞こえる女性の声に気づかず歩いて行った。
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おーにし(プロフ) - 零大好き(*´ー`*)さん» ありがとうございます!降谷さんをカッコよく書けるよう精進してまいります(^^) (2018年4月21日 19時) (レス) id: 1c4bcc000c (このIDを非表示/違反報告)
零大好き(*´ー`*) - めっちゃ面白いです。降谷零が好きなのでいいですね! (2018年4月20日 21時) (レス) id: 99bad809e9 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - おーにしさん» いえいえ、こちらこそすいません。m(_ _)m (2017年10月5日 8時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
おーにし(プロフ) - 零音さん» そうなんですよ。ご心配おかけしてすいませんでした (2017年10月5日 6時) (レス) id: 0c53be3934 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - おーにしさん» はい、そうです。結構似ていたので、偶然似てしまっていたんですね。 (2017年10月5日 1時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おーにし x他1人 | 作成日時:2017年5月14日 0時