不死川さんと町娘

音柱邸 ページ46

男は走る
ひたすら走る


一刻も早く少女にこの想いを伝えたい

だがこの男は女の扱いなど知らない

ただただ毎日己と向き合い
鍛錬、そして鬼を滅殺する日々
女性と関係を持つなど考えもしなかった


それ故分からないのだ

分からないからこそ
思案を巡らせてしまう


だがいくら考えた所で経験は無いのだ


答えなど出るはずがない


だからこそ男は走る

目的の男は俗に言う色男、二枚目。背丈も高い
ならば女性との様々な色恋をきっと経験しているだろう
そして今は世帯を持っているきっと何か
得られるに違いないと歪に笑う青年



しばらく走ると屋敷が見えてくる


目的の男はそこにいる


男は更に速度をあげる

もう待てないのだ

正面の門から入らず

鍛錬を行っているであろう

裏山に走る


男はいた


きっと休憩しているのであろう

手拭いを妻と思しき女性から受け取り
体を拭いている


見つけたと不敵な笑みを浮かべる


宇髄は気配に気付いたのだろう
こちらを警戒する


俺はゆっくり宇髄の元に歩く


そして目の前まで行くと男は頭を下げる


宇髄は驚いていた
あの不死川が隊服じゃないものを着ていると


男は腹を決めポツリとゆう

「惚れた女に交際を申し込みたい」

そう言うと宇髄はニヤッとすると
やっぱりあの噂は真実だったかと満足そうな顔をする


そして後程この時の俺の顔は凄いものだと
宇髄の妻達から聞いた

目は血走り鬼の形相で青筋を立てていたらしい

一瞬天元様を殺 りにきたのかと警戒してしまったと
笑い話になるのだった

男同士腹を割って話そう→←愛おしい

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