不死川さんと町娘

不死川の葛藤2 ページ21

夜になった

さぁ鬼を滅する時間だ


今日もすこぶる調子が良いから

きっとこの辺りの鬼を一掃出来るだろうと

ひとりいびつな笑みを浮かべる不死川


なんていったって今日はあの子の名前を知れた
さらに自分の名前を呼んでくれたのだから


鬼もドン引きするぐいの血眼になった笑顔を振りまきながらバッサバッサと斬っていく


そしてこの様子をまた鎹鴉は産屋敷邸に報告に行く


「あの不死川実弥が人間に恋をした
その効果で通常の倍強くなっている。」

その様に報告した鎹鴉


鎹鴉の中で最近噂になっている話題はこれに限る


鴉の中には伝達の際の戯言のような感じで
ほかの柱に伝えた者もいたようだ



そんな事とはつゆ知らずひたすら笑顔で鬼を狩る不死川

いや、むしろ知られるのは本人にとってはまずいことなのだとも何人かの柱は思う
言わないでおこうと。だが空気の読めない茶化したがりの柱。
さぁ、そろそろ不死川邸にお邪魔しようかと
計画する無粋なものもいたのであった

そして夜は明けていく



今日も少し遅く帰る

もしかしたらまたあの子に会えるかもしれないから


ゆっくりゆっくり帰りまた垣根から見る


ああ、少女は待ってましたとゆうように縁側に座っていた


『実弥さん！おはようございます！昨日はありがとうございました！』

元気よく挨拶の後に感謝の言葉
つい頬が緩む


「ああ、きにするな」


やはりぶっきらぼうにしか答えられないが
彼女は寛大だ、優しいからこんな粗末な答えでもしっかり頷いてくれる


『お仕事帰りですか？』

仕事…っと言っていいのか、いや確かに仕事だ、給金も頂いている…だが説明などできない…
少し後ろめたく思った不死川。


「ああ、まぁな」


そう言った少女はやはりこういう

『なんのお仕事なさってるんですか？』

それきた、どうする。鬼殺隊だ。なんて言っても何を言ってるんだと一般人は思うだろう

鬼狩りなど一部の人しか知らない


咄嗟に不死川は嘘をついた

軍人だ。と

『ああ、やっぱりそうなのですね！隊服を着ていたのでそうじゃないかと思ってました！ふふ』


純粋な目で見られると少し心に影がさす
嘘をついてしまった。いやだが真実を知られる訳にはと…心に覆いをかぶせた
「A」

『はい！実弥さん！』

「今日も来ていいか…？」

少し疑問形で優しく言った

『もちろん！待ってますよ！』

不死川はたまらなく嬉しくて
少し微笑むと踵を返して屋敷に戻り
湯浴みをすると直ぐに寝るのだった

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