【歌い手】歌い手になって、よかった…？

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｢...A...!A...!!｣



誰かに名前を呼ばれる。

まるで地獄から連れ出してくれるような感じ。


ああ、彼方は来てくれたのだろうか。




｢...彼方ぁ....?｣

｢A...!｣



ぼやけてた視界がはっきりして、今の状況がわかった。


...彼方に、抱きしめられてる......



愛しくて仕方ない温もりを、久しぶりに感じて、涙が溢れ出てくる。



｢彼方っ、ごめんねっ!｣


ぎゅっと抱き返す。
嬉しくて、でも、申し訳なくて。



涙の味がする、キスをした。

いつぶりだろうか。



大好きで、離したくなくて、だから....!



｢浮気なんて、するわけないだろっ｣

｢信じなくてっ、ごめんっ...!｣



大丈夫だっ、と頭を撫でてくれる彼方。

優しい。
大好き。



そして、今あたしがどこにいるのかに気づく。


家の中。
あたしの。



あたしがいたのは外だったはず...。




｢センラさんが、運んでくれたんだって｣

｢センラさん...｣


センラさんが倒れたあたしを家まで運んでくれたんだって。

あたしは慌てて、家の電気も鍵も閉めてなかったらしい。



センラさん、優しすぎるわ…



｢そうそう。センラさんから手紙預かったんだ。読んでみて｣

｢うん...?｣


多分、お付き合いのことだ。







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