名ばかりスタイリスト (ページ15)

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よーい、どんページ15

百均まで往復10分。
買い物に5分。
戻って靴用意するのに5分。

エレベーターで階を下る間、地図アプリを開きながらアレコレとシュミレーションをする。
うん、これなら行けるぞ。

ﾁｰﾝ

エレベーターが到着の音を鳴らし、扉が完全に
開き切る前に体を乗り出し華麗なスタートダッシュ
を決める。

"A選手、好調なスタートダッシュです。"

頭の中でちっさい俺が体育祭ばりのアナウンスを
披露してる気がする。
1度信号に捕まり、そのタイミングで息を整えるが、しばらくニートをしていた俺の体力は
スタートダッシュを決めた時点で既に限界を
迎えそうだった。
しかし正直今はそんな事を言っている場合ではない。

"A選手、頑張って下さい"

はい、がんばってます。
なんて自問自答と言うべきか分からない返答を
しながら、俺は百均まで全力で走った。

無事に百均に到着した俺は中へ駆け込み、
店内にちらほらいるお客さんを華麗に避けながら
お目当てのコーナーに走る。

"A選手、ゴールは目前です。お目当ての物は無事に見つかるでしょうか？"

えっと…リボンリボン…あったあったあった！
すっげぇ、最近の百均って品揃えやっばぁ！
レース風のリボンからサテン生地、コードゥロイ生地まで取り揃えられてる。
え、どれにしようかなぁ…

なんて呑気に悩んでる時間もなく
ざっと見た感じで気になった白リボンと瞬間接着剤、そしてそばに置いてあったビーズをひっつかみ
レジに駆け込む。

そして会計の終わった後は品物をひっつかみ、
今度は店を飛び出す。

急げ。

まだ間に合う。

"A選手、無事にスタジオに戻ってきました。残り時間は、なんと7分！お店のレジに誰も並んでいなかった点、帰りに信号に捕まらなかった点が功を奏し、予定より＋2分の余裕があります"

何とかトラブルも起こらずスタジオに戻ってこれた。後は楽屋に戻るだけだ。
と、エレベーターに目をやるとなんと
扉が閉まりかけていた。

まずい、ここのエレベーターは1回逃すと次が長いんだよな…

｢待っっっっって！！！
そのエレベーター乗りまーーーす！！！｣

スタジオ入口にこだまする俺の声。
ちょっと恥ずかしいけど、今はそんな事を気にするほど余裕はない。

閉じかけていたエレベーターを大声で呼び止め、
中に駆け込んだ。