紅一点ライフ

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side芳田





廊下を凄い勢いで歩くから、周りのスタッフさんがみんな振り向く。




しげのアホ。どアホ！



わざわざのんちゃんがいる前で言わんくてもよかったやん。




重『女子は楽やなー？泣けば許してもらえるし』




･･･しげにだけは言われたくなかった。


まだ、うちらがJrやった時。



‪


.






Jr『女はいいよな。疲れたって言えば休めるし』

Jr『ちやほやされて調子のってんじゃね？』

Jr『あのレベルならジャニーズ辞めろよ』




東京Jrとの一週間の合同練習。

そん時は関西でもまだまだやったけど、東京の風当たりはとにかく強かった。




向「A･･･」

「大丈夫やって！誰やって最初はそうやろ？みんなわかってくれる」


口ではそう言っても、胸の中に蓄積するダメージは、やっぱり軽くはなくて。





「･･･グスッ･････････」




五日目の夜、レッスン室の裏でこっそり泣いていた。



「･･･！」


息を呑む音が聞こえて顔をあげると、



重「お前･･･」

「、しげおか･･･」


あかん。また、これやから女はって言われる･･･。

目が腫れるのも構わずに顔を擦っていると。


重「ほれ、」

「え？」

重「･･･やる」


しげに渡されたのは、当時私がよく飲んでいたココアの缶だった。




「なんで、」

重「練習終わったあと、いつも康二に買ってもらってるやろ」

「し、失礼な！交代ですぅー！」

重「知らん」




同期の中でも、康二とは比較的仲が良かったのに比べて、しげとの接点はあんまりなかった。

そんな私にとって、しげがこのココアを知ってたのは驚いたし、嬉しかった。






重「･･･俺らは、お前がいっつも頑張ってんの見てるから。
何言われたとしても、お前の努力は偽物ちゃうから。


女であることに、自信を持て。」





そう言って、手を差し出してくれた。





･･･でも今は。


その手で突き落とされたみたい。







「〜〜〜〜〜っ！」



あかん。泣いてまう。




行くと言った女子トイレも通り過ぎて、突き当たりの自動販売機まで来てしまった。

しかも誰かいる。こんなとこ見られたら･･･。



重「･･･A？」

「･･･しげ」



ああ、最悪。



重「A、ごめん！！」

「、え」


泣いてたせいで掠れた声がする。


重「ついカッとなって、思ってもないこと言ってもうた。


･･･許してくれる？」

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