第二百八話 ページ8
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デート、その言葉の重みが付くだけでふたりは何となく緊張してしまっていた。Aは自分の手を引っ張る風丸の後姿を見つめる。
今日、遊園地を探索すると知ってAは、ふたりきりでこういう場所を回ることができることに期待していた。たとえどんな名目があってもデートのように思えることには変わりないし、第一風丸と過ごすことができるのだから文句などない。
でも今の状況は、Aにとってあまり良いとは言えなかった。折角、ふたりでいるのに彼はすっかり黙り込んでいるし、顔も合せてくれない。
「……いち」
「A、すまない」
Aが彼の名前を呼ぼうとしたその時、風丸が振り返ってAに謝罪の言葉を呟いた。Aは驚いてえっと声を漏らす。風丸は申し訳なさそうに笑い、握ったAの手をそっと引いた。
「俺、今までAと一緒に出掛けたこと無かったな。初めにAと付き合ってから今まで、ずっと」
「……」
「俺の練習に付きあわせてばっかりだった。遊びに行ったり、してなかったな」
すまない、と風丸がAの目を見つめて言う。Aはきゅん、と胸が痛むのを感じた。今までAが風丸と一緒にデートという物をしてみたいと思っていたのはもちろん事実だ。でも彼の練習に付き合っていたことは自分の意志なのだし、何よりそうすべきだと自分でも思っていた。彼に謝る謂れなどないはずだ。何より今、エイリア学園の襲撃というこの状況が異常だ。普通にデートをする暇なんてあるわけがない。
「だって……、今まで忙しかったから仕方ないよ。謝らないで」
「だが……」
「いいの。……私ね、今日こうやって遊園地に来れるって知って、少し楽しみにしてたんだ」
Aはにっこりと微笑んで風丸を見つめる。その表情は気遣いをしているわけでもなく、心からとても嬉しそうだ。風丸がA、と彼女の名前を零す。
「だからね、今はこれでいいの。一郎太くんとこうやって一緒に居られたらそれでいいんだ」
「……」
風丸の頬がポッと赤く染まった。彼女のいつも通りの素直な言葉に気恥ずかしさを感じずにはいられなかったが、だがそれでも救われたような気がした。いつも彼女の期待に応えられないと感じているからこそ彼女がこれでいいと言ってくれることに安堵した。しかし……、胸のどこかではやるせなさも感じている。
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やすけ(プロフ) - レイさん» コメントありがとうございます！レイさんのご要望にお答えしたい気持ちはあるのですが、アレスとオリオンに関しては現在は構想がわかないのでお答え出来ません。ごめんなさい (2019年8月7日 20時) (
レス) id: 605d7b732a (このIDを非表示/違反報告)
レイ - やすけさん、もし良かったらアレスの天秤と、オリオンの刻印を書いてもらえると嬉しいです。 (2019年5月2日 12時) (レス) id: 90c5c7cfce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やすけ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/my_dreamwould
作成日時：2019年4月28日 19時
