第二百十一話 ページ11
ふと彼はそう思ったのだ。こんなことでは彼女は離れて行ってしまう、何せライバルは多いのだから。それに自分が贈ったプレゼントを彼女に身に着けてもらえる、というのも悪い気はしなかった。
「やってみるよ。俺、Aに何もプレゼントしたことなかったし」
「良いよそんなの、気にしなくたって……」
「デートの記念になるだろ？ ……だから、やってみるよ」
風丸がふっと男らしく笑みを浮かべる。デートの記念、そういう言葉に女の子は弱い。実際、Aもそうであった。胸をときめかせ、恥ずかしそうに口籠ってしまう。そんなやりとりを見ていたお姉さんは青春やねえ、と言いながら風丸の肩を叩いた。
「それにしても兄ちゃん、男やわあ。さっきは女の子と間違えてごめんな？ お詫びにゲームのボール、ホンマは三回しか投げれへんのやけど、二回おまけしたる！」
お姉さんはせかせかと1プレイの分のボールが入った籠に二つプラスして風丸に渡す。風丸はゲーム一回分の料金を支払ってそれを受け取った。籠をゲーム台の上に置き、ボールを一つ右手に持つ。するとお姉さんがゲームの説明を始めた。
「ルールはお兄さんが持っとるボールをあの的に当てて、的が倒れたら賞品ゲットや！簡単やろ？でも中々難しいんやで。まあ、やってみたらわかると思うけど」
第一球、風丸は普通にボールを投げてみる。だがボールは空を切り、後ろの壁に当たった。外れである。風丸は眉を顰めた。思ったよりも難易度が高そうであった。何しろ的は指人形程度の大きさであるし、台座の上でぐるぐるとまわっている。ボールは少し軽めなのか、空気抵抗を受けやすく失速してタイミングがずれてしまう。
「こういうの、円堂は得意なんだがな……」
困り顔でボールを投げる。二球目、三球目も僅かに的を逸れてあたりはしなかった。Aは不安げに風丸の横顔をみつめていた。別にゲームがクリアできないことに対しては何も思いはしないのだが、できなければきっと風丸は気にしてしまうだろう。
「くそっ……」
四球目を勢いよく投げる。そのボールは指人形を掠めたが、的を少しずらしただけで倒すには至らない。ああ、とギャラリーから声が上がる。いつの間にかゲームコーナーのスタッフやお客さんに注目を浴び始めていた。
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やすけ(プロフ) - レイさん» コメントありがとうございます！レイさんのご要望にお答えしたい気持ちはあるのですが、アレスとオリオンに関しては現在は構想がわかないのでお答え出来ません。ごめんなさい (2019年8月7日 20時) (
レス) id: 605d7b732a (このIDを非表示/違反報告)
レイ - やすけさん、もし良かったらアレスの天秤と、オリオンの刻印を書いてもらえると嬉しいです。 (2019年5月2日 12時) (レス) id: 90c5c7cfce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やすけ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/my_dreamwould
作成日時：2019年4月28日 19時
