☆ミラクルイケメンリーマン ページ31
…
「ふっつーのサラリーマンが好きって女紹介しろよッ」
「薮くんちょっと飲みすぎ…」
いても立ってもいられず雄也を呼び出したのはひかるの
誕生日３日前だった。
月曜日、終電間際。いつもの立ち飲み屋も客はまばらだ。
家に帰りたくない奴らだけが皿のソースを舐めるように
しつこく居残っている。
「あんっな薄情なやつ、、もう好きじゃねーよ…っ」
雄也には洗いざらい話した。
オークションのこと、錯覚資産、ひかるがお星様野郎を
選んだこと。勇気を出して歌ったのに、無視されたこと。
「薮くんてさぁ、デートでどこ行きたい人？」
「…なんだよ急に……」
「ちゃんと趣味合いそうな子紹介するからさ」
「…あぁ……」
意外だった。雄也は ”諦めるな”って言うと思ってたから。
でももう、後には引けない。
「まぁ普通に映画とか…飯行ったりとかかな…」
「ほんとに普通だね」
しょうがねぇだろ。ろくにデートしたことないんだから。
ぬるくなったビールでムスッ、とした気持ちを流し込み、
黒い皿に一匹だけ残った子持ちシシャモを箸でつついた。
「……水族館、、」
「へぇ……そういうの好きだったんだ」
口をついて出た言葉にさえ、思い出がこびりついている。
魚の小骨みたいに喉に引っかかり、できた傷がむず痒い。
「１回だけひかるの成人祝いで飯行ったことがあってさ…
海沿いのレストランだったから、近くに水族館もあって、
恋人だったらあぁいう所も行けるんだよなーって思ってた」
鱗屋根の可愛らしいレストランだった。
あの水族館クラゲがいっぱいいるらしいよ、って話題に
出すのが精一杯で。ひかるは行きたいとは言わなかった。
「水族館ってちょっと薄暗いし、ムードあっていいよね。
…そこで手とか繋いじゃう？」
「…そうだな……繋ぎてぇな……」
ひかるの手。ひかるの髪。ひかるの八重歯。ひかるの唇。
「…１回ぐらいキスしてぇーなぁー…っ」
カウンターにおでこを押しつけて身悶えた。
雄也が耳元で「キスだけ？」と、色っぽい声で言うから、
つい熱くなって、溢れ出ていく本音を止められなかった。
「そりゃ、えろいこともシたいよっ、、悪いかよっ…。
マジでずっと好きだったのに……
っ、何年我慢したと思ってんだよッ…！！」
うなだれた頭上にジュージューと焼き鳥を焼く音だけが
聞こえた。茶化してもくれない雄也にふと顔をあげると
雄也は俺の心をひんやり握りしめるように微笑んでいた。
「……薮くん、言おう。」
…
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白米(プロフ) - こんにちは。こちらは薮くんの光への愛が前編ずっと綴られていて、それだけで読んでいて胸いっぱいで。両片想いっていいですよねー。はぁ。途中ハラハラしながらも、最後の幸せそうな二人に私も幸せにしてもらいました。ご馳走様でした。 (2019年11月27日 11時) (
レス) id: 087ee442e3 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 大好きな「失恋作家」の二人に再会できて幸せです。ありがとうございます。再読させていただき、初めての夜に辿り着いた二人を心から祝福したくなりました。一人で見る夢以上に二人の未来はきらきら星のように輝いています。そして、スパダリやぶくんに栄光あれ! (2019年4月11日 11時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
ooota12(プロフ) - はじめまして。流星の詩を歌う光くんに涙してしまいました。しょこるさんの世界観に引き込まれてしまいました。スピンオフの甘々はほっこりするもので大変楽しく読ませてもらいました。 (2019年4月11日 1時) (レス) id: 7038ad089f (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - ♪ゆずりんご♪さん» コメントありがとうございます^^オークションのシーンにはやぶのひかるへの愛をたっぷり込めて書いたので心に響いて嬉しいです＊もっと面白いお話、胸キュンするやぶひかが書けるように次もがんばりますっ♪ (2019年1月12日 13時) (レス) id: 7e239da259 (このIDを非表示/違反報告)
♪ゆずりんご♪(プロフ) - 初コメ失礼します。最初から最後まで、光くんと薮くんの恋物語にハラハラしながら読みました。純粋無垢な光くん、それを助けようとした薮くんの「１２５万円！」の叫びに胸が痛くなりました。すごく面白かったです！ (2019年1月9日 23時) (レス) id: 10db15d6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しょこる
| 作成日時：2018年6月8日 21時
