28【手】 ページ28
呆然と座り込んでいた。
ボールが蹴られる気持ちの良い音に顔を上げると、スタジアムの天井は開き光が射しこんできた。
そして、スタジアムの観客による歓声が広がりチョウキンウンズの勝利を祝福した。
「(終わったんだ。)」
ふらりと立ち上がる。
ユリカやそのチームメイトはチョウキンウンズとの試合に握手などを交わしていたが、私はそんなことしてられない。
いや、出来ない。
したくも、ない。
最終兵器として育成されたのに負けるという失態を見せた自分を生かしておけない。
頭もガンガンする。でも、激流をもがくように必死に歩を進める。
だが、
私の前に、誰かが立ちはだかる。
明らかに私を止めようとしているのだと分かったが、無視して歓喜のフィールドから出ようとする。
「待ってよ。」
「…」
腕を掴まれる。
立っているのも苦しい。
「Aさん、俺はまだ君を救えてない。」
「………、ひか、るさん…」
掴んだ腕を操作し、私の体を上手く自分の方に向かせた彼。
しっかりと目を合わせられる。
「俺に、Aさんを救わせて。」
「……ごめんなさい。」
私を救っても意味ないの。
光さんが損をするだけ。
私は合わされた目をそらした。
「…怖い？」
「っ……！」
確かに、
一度側に居た光さんを無くしてしまうかもしれないと言う想像は、消えない。
「大丈夫、大丈夫だよ。」
子供をあやすように、光さんは私を抱いて頭を撫でた。
不意に心が苦しくなり呼吸が出来なくなった。
光さんは私の体から手を離す。
「これは、Aさんの選択だよ。
俺は絶対に居なくならない。Aさんを一人になんかさせない。悲しい思いをさせない。
……信じてくれるなら、
俺の手を…取って。」
さっき離された髪に、まだ彼の温もりが残って風に消されていく。
その、温もりにまた触れて良いの？
信じて、良いの？
「ぁ……」
「っ……！」
・
・
・
Aの手は、一星の手に触れずに地に滑り落ちていった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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小桜(プロフ) - 面白かったです！アツヤとヒロトが登場して時は、「うひゃー！！」とテンション爆上がりしました！ (2021年5月11日 23時) (
レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
ice.11(プロフ) - ゆーみやンさん» 返信遅れてすみません。この話を読んで少しでも救われたのなら嬉しい限りです。ありがとうございました。 (2020年2月28日 23時) (レス) id: 14dbba7e04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン(プロフ) - 完結おめでとうございます！！すっごいいいお話でした！！ 最後の作者様のお言葉にも感動しました。人は誰かに必ず愛されていているんですよね。私も最近それを実感しました。 お疲れ様でした！( *´艸｀) (2020年2月6日 4時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
ice.11(プロフ) - ゆーみやンさん» 応援してくださってありがとうございます。完結まで頑張ります。 (2020年1月25日 15時) (レス) id: 14dbba7e04 (このIDを非表示/違反報告)
ice.11(プロフ) - 柴鈴さん» 感傷に浸りたい時に読んで欲しいです。応援ありがとうございます。 (2020年1月25日 15時) (レス) id: 14dbba7e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ice.11 | 作成日時：2020年1月13日 1時
