道はどこまでも続く 2

フードを被ってる理由 ページ30

｢お前なんでいつもフード被ってんだ？｣


修行の休憩合間に出た質問
単なる世間話のつもり。軽い気持ちで放った言葉
あまり意味も無いその言葉にヴァンデラーも｢面白い理由ではないよ｣と曖昧


｢取らねぇのか？｣

｢やけにグイグイくるね｣


ワース自身''エルフ''という存在に興味が無い訳では無かった
ずっと物語上でしか見たことがないエルフが今目の前に存在している。フードで見えないなんて勿体ない


｢取らないのか？｣


もう一度聞いてみる。コイツは存外弟子に甘い
ソレを存分に活かして見ると返事は遅かったものの諦めたようにフードに手をかけパサりと落とした

快晴の外で修行していたこともあり太陽の光は彼女の白く透き通った長い髪を反射させ存在を主張するかのように輝いていた
文字通り。輝いていた


｢ま、まぶっ!!眩しっ!!｣

｢頭が光る魔法だよ｣

｢全世界のハゲに謝れ｣

｢なんで??｣


冗談じゃんと魔法を消したヴァンデラーだがそれでも白い髪は他と比べてキラキラと光を反射させていることに変わりは無い
色素の薄い瞳も、長いまつ毛も、細く長い手足も全て光を跳ね返して正直存在がうるさい


｢存在が眩しいって言葉が物理的に似合うな｣

｢まぁ快晴だと余計ね
外が明るいと自分含めてみんな眩しくて目が痛くなるからフード被ってるんだよ｣

｢は？｣


チカチカしてきた
そう言って目を閉じ顔を覆う彼女にワースは｢なんで大事なこと言わねんだこのババア!!｣とフードを被せ日陰の方へ引っ張り込む
数分もすれば目の痛みがひいたのか顔から手を離しワースと顔を見合わせる


｢その眼鏡貸して｣

｢これか？壊すなよ｣

｢私を何歳だと…｣


サングラスを受け取り自分にかけたヴァンデラーは再度フードを下ろし日向の方へ歩いていく


｢…おぉ!!すごい!!視界が茶色だ!!｣

｢ヤベェ、ババアなのかガキなのか分からなくなってくる｣


その後カルパッチョが遊びに来るまでサングラスを奪ったままのヴァンデラーが居たとかなんとか……



｢フード被ってサングラスしてるとか変質者だよ｣

仲良しトリオ その1→←プレゼント その2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す