道はどこまでも続く (ページ8)

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8話ページ8

無事入学も出来たところで私は極々平穏な日常を送れる……と思っていたのだけど

｢痛い目見たくなきゃもってる銀硬貨を全部置いていきな!!｣

｢……｣

｢なんだなんだァ？怖くて声も出ねぇってか？｣

今日で3度目となる恐喝にため息をこぼしそうになった
ただ実践授業で好成績(新記録だったらしい)私に送られたのは神覚者を目指す人なら喉から手が出るほど欲しい物出そうでそれの争奪戦は学年関係なく盛んに行われていると

1年生かつ女なら勝てると踏んだであろうこの2年生も前回の彼らと同じように私に絡んできたわけだけど……

杖を構える彼と違い私はただ棒立ち、戦う意思がない訳では無いが室内だと被害が大きい(前2人は野外だったので秒殺)
どうしたものかと頭を捻っていれば突然彼が血を吐いた

｢通路塞がないでくれる？邪魔なんだけど｣

私の後ろからヌッ…と現れた男は私など見えて居ないかのように通り過ぎて腹部を押えている相手を蹴り飛ばした

｢ザコがデカい顔してんじゃねぇよ
消えろ｣

蹴った表紙に服の中から飛び出た銀コイン2枚を回収し男は消えてしまった
……とりあえず倒れている彼を医務室に運ぼうか。と魔法で彼を浮かせれば手首にﾋﾟﾘｯと痛みが走り確認すると切り傷ができていた

｢……なんでそんな雑魚を助けようとするの？
助ける義理もないでしょ｣

消えたと思っていた男はどうやら私の行動を見ていたらしく首を傾げながら戻ってくると私を見下ろすように立つ

｢そうだね、助ける義理も何も無い
でも私が見捨てたことで人が死ぬのは嫌だからね｣

｢何それ、やっぱり雑魚って弱いね｣

｢強い弱いの話じゃないよ
生きているもの全てに生と死は平等だ
彼が弱いからすぐ死ぬわけじゃない。君も彼と同じ傷を与えられれば理解するんじゃない？｣

私の発言に男の眉が少しだけ動いた
どこからかナイフを取り出し自分の腹部に深く突き刺すと彼はニヤリと笑い

｢残念な話だけど、僕は生まれた時から痛みを他人に奪われるんだ｣

｢あぁ、なるほど……
この世界の魔法はつまらない。なんてことは無いみたいだね｣

これだから魔法使いはやめられない