道はどこまでも続く (ページ35)

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35話ページ35

｢本で見た通りのエルフだわ｣

｢すげぇ、初めて見た｣

｢この耳動くのか？｣

｢……寒い｣

何この状況。
ワースの兄と話ていれば金髪君が乱入してきて、引っ張られるように連れてこられた場所は知らない人がゾロゾロと……
興味と驚きを含んだ目で私を囲んだ数人は物珍しそうに観察している
ハッキリ言うと大分居心地は悪い

｢ただ耳が特徴的で寿命にほとんど制限がないだけの人と変わりない生き物だよエルフなんて｣

｢だいぶ違うぞ｣

あとちょっと生殖本能が軒並み欠落してるだけで
そうは言ってみるもののワイワイと盛り上がったままの彼らを見てはぁ……と息を吐く
なんでこの世界の人間は観察したがるんだ。エルフである私が言えたギリではないけど

聞かれた質問に観察されつつ答えていると本を持った神覚者が手を挙げ

｢彼女が過去からやってきたエルフだとすれば今は謎となっている魔法も数多く知っているのでは？
解明するチャンスかと｣

｢嫌だよそんな面倒なこと、やらない｣

｢では私に教えて頂ければ｣

｢私は弟子は1人と決めているんだ｣

｢既にいらっしゃると｣

｢そうだね｣

ではどうすれば……と口元に手を当てる女性
失われた魔法なんてそれだけのものだったということだ。古い魔法なんて威力もそうないだろうし
……いや、この時代ゾルトラークさえ消えてるのか

｢ひとつ言えるとしたら私はコチラ側(魔法局)の味方だ
イノセントゼロが再び襲ってくるようなら一緒に戦うし魔法の悪用もしない
それじゃダメなの？｣

私の提案に数秒の沈黙が流れたが｢それなら……｣と了承されたためようやく解放か。と息を吐く

｢最後にひとつ聞きたいがいいか？｣

金髪の謎にキラキラした男がコッチに歩み寄りニコリと笑顔を振りまく

｢君の生きてきた時代の魔法使いとこの時代の魔法使い
どちらが強い？｣

｢……私が生きていた時代かな｣

｢ほぅ…？｣

｢神の時代に生きていた魔法使い(エルフ)が存在していること、魔王が倒されてあまり日が経っていないということ、魔族の手中に収まっていないこと
大きな違いはこの3つでそれぞれ大事な事だ

とはいえこの世界の魔法も進化してる
私の時代に時間を操る魔法なんてなかったからね
少しミスをすればこの時代でも勝機はあるよ｣

｢神の時代の魔法使いをコチラには呼べないのか？｣

｢呼べたら私はもう帰ってるよ｣

帰れないから私ここに居るんだけど