道はどこまでも続く (ページ32)

今日:188 hit、昨日:390 hit、合計:154,806 hit

32話ページ32

｢ヴォンザンベル｣

放った業火は相手の出した岩と衝突し溶岩となる
それを操作魔法でぶつけてみるも防御魔法で弾かれた

｢うん、強いね君
ここまでやれたのは800年生きてきて初めてだ｣

｢そう｣

｢でもそんなに暴れて大丈夫かい？ここには君の仲間が多く居るんだけど｣

煽るように周りを見る魔族に心配しなくていいよと冷静に返す

｢時間を停められたままの彼らには防御結界を張ってるからね
君の魔法くらいじゃ壊せない｣

｢…言ってくれるじゃないか、ならこれならどうかな!!?｣

空を覆うような大きなマグマが造り出される
彼の魔法は多種多様。出来ないことはほとんどないのだろう
私が生きていた時代の魔法使いと戦い方がよく似ているし、その中でも強い枠に入る

｢でも、私なら何とかできる｣

指を鳴らすと迫ってきていたマグマは花へと姿を変え地面に降り注ぐ
唖然とする魔族を横目に

｢ジュベラート｣

花弁を剛鉄に変化させ魔族に向けると相手も防御し傷にはならない

｢こんなに戦闘が楽しいなんてなぁ
もっと君と戦っていたいけど…残念、そろそろ時間切れだ｣

魔族の目線が私から外れ私もそちらに目を向けるとイノセントゼロが撤退しているようで

｢僕は時間稼ぎをしろと言われていてね。君達にはとっておきのものを用意したんだ｣

男が呪文を唱えると膨大な魔力と同時に視界の端に写った大きな物体
あぁ、なんて

｢面倒なことを｣

｢ほらほらよそ見してていいのかよ!!｣

イノセントゼロの撤退により停められていた時間が動き出す
動きが止められていた生徒たちが目にした光景は大きな化け物と闘技場の中心で規格外の戦闘を繰り広げる一人の生徒の姿

｢カタストラーヴィア｣

｢そんなものか!魔法使い!!!!｣

無数の光の矢も魔族は簡単に避け戦いを楽しんでいるのが誰が見ても分かる
とにかく時間が惜しい中彼を倒す答えは出ているが

｢……あんまりコレは使いたくないんだよなぁ｣

あの怪物はランス達の攻撃ではビクともしなさそうだし。確実に殺れるのは私だけ。自分のわがままで他人の命を危険には晒せない

深く息を吐きフードに手をかけた
いつぶりかの光に若干の眩しさを感じつつ前にいる魔族と目を合わせた

｢お前……その姿………｣

魔族だけじゃない周りの生徒が言葉を失い唖然としている中

｢落ちろ｣

私の声がやけにハッキリと響く
魔族は地面に引っ張られるかのように落ちていき私はそれをろくに確認せず怪物の方へ向かった