9話 ページ9
「A、A!居ないのですか!!?」
朝から母の慌ただしい声が脳内に響き渡る
廊下に出てみれば少しやつれた顔の母がズカズカと近づいてきた
「貴方、昨日あの余所者達と一緒だったそうですね」
「まぁ、困っていたようでしたので少し手助けを」
「何を隠し持っているか分からない奴らに無闇に近づいてはいけません。
これからは彼らに近づかないよう。いいですね」
「あちら側から近づいて来た場合は?」
「何がどうあろうとです!!」
私は忙しいの!
そう叫ぶように母は私に背を向けて歩き出す
不器用な母親だな。と少し呆れる
守りたい存在が故に縛り付けて閉じ込める
「悪手にも程があるよ、お母様」
人間は''するな''と言われるほどやりたくなる
カリギュラ効果が存在するし
「さ、今日は何をしようか」
「あ、お姉様!」
「ん?紗代?」
村を散歩していれば遠くから紗代が駆け寄ってきて、何事かと聞いてみれば水木に呼び出されお洒落がしたいのだと頬を染めて話してくれた
「やっぱり東京の方ですし、洋服の方がよろしいかしら?
でも洋服なんて私あまり持っておりません…」
「いつも着物だし、たまにはワンピースを着てみてもいいんじゃない?
紗代、こっちにいらっしゃい」
一度2人で屋敷に戻り私の部屋に入ると、以前丙江叔母さんから貰ったワンピースをタンスの奥底から取り出す
1度着てみるよう支持し、紗代が着替えている間に自分の持っている化粧品を一式揃えた
「あの、お姉様…すこし布が少なくないですか…?」
「…昔の服って体のラインわかりやすいよね」
「らいん?」
「んー?こっちの話
似合ってるから大丈夫、紗代こっちにいらっしゃい」
紗代を前に座らせ軽く化粧を施していく
その間に水木の話が止まらない止まない
「きっとあの方は私の運命の人に間違いありませんわ
だってあの方だけが私だけを見てくれたんですもの」
まるで度数の高いお酒を飲んだかのようにトロンと顔が緩みきっている
村全体に絶望した彼女は外の世界に憧れすぎたが故、東京から来た彼に心酔している
んー、このままだと仮に結ばれたとしても彼女の理想は高くあり続けるだろうなぁ
少し助言してみようか
「紗代、あまり他人に理想を押し付けないようにね」
「そ、そんなことしませんわ」
口篭る彼女に私はいつものように笑いかけた
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あべの(プロフ) - そして、この後の囲われた日常が気になるのは自分だけなんでしょうか? (12月25日 15時) (レス) @page25 id: 55582985e0 (このIDを非表示/違反報告)
あべの(プロフ) - 1から3まで並べると尊くて泣きます。 (12月25日 15時) (レス) @page25 id: 55582985e0 (このIDを非表示/違反報告)
箔月(プロフ) - えー、全て神でした (12月25日 11時) (レス) @page25 id: 26079ce184 (このIDを非表示/違反報告)
rune16(プロフ) - 第一特典はと合わせたい神絵でした。遅くなりましたが、コメント失礼しますwww私は第一特典もらってないので是非とも並べたい。いや、並べないといけない第三特典だったとお伝えします! (12月25日 11時) (レス) @page25 id: c9d7379dbf (このIDを非表示/違反報告)
Rin'lan - 天才すぎます!! (12月23日 21時) (レス) @page19 id: 3767ef094f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水菜目 | 作成日時:2023年12月11日 2時