5話 ページ5
「は?時麿叔父様が亡くなった?」
「そうなの、今朝お母様がそう言いながら泣いてて」
「ふぅん…」
「…次は僕の番なのかな」
「……」
珍しく1人で屋敷内を歩いていた時弥を見つけ話しかければ今朝新しくこの村に入ってきた余所者が見たいと部屋を抜け出したのだと教えてくれた
成行きで私もついて行く途中で出た重い話
人なんていつ死ぬか分からないし適当なことは言えないと口を閉ざすと時弥は私を見あげた
「僕の病気、治らないのかな?」
「……試してみる?」
「A姉、治せるの?」
彼の丸っこくて小さい頭に手のひらを乗せる
本音を言えば治せない
だけどその症状を軽くすることは出来る。硝子ならもっと軽くできるんだけどどう考えても生まれてないしなぁ_
「五分五分かな」
「うっそだぁー」
時弥は医者に言われた「不治の病」という言葉を覚えているのだろう
私の発言は虚言に捉えたようでニコニコと笑った後に
「でも、元気でたよ
ありがとうA姉」
そう言った
この村、この一族には珍しい闇が無い純粋無垢な男の子
彼の幸せを願いながら私は彼の望む場所へ歩を進めた
「おじさん話聞かせてよ」
「時弥くん!?それに、君は…」
「こんばんは」
突然の訪問に驚いたのか水木は目を見開いていた
格子の奥で寝転んでいるのがもう1人の余所者なのか。
…?コイツ変な感じしない?
人間でも、呪霊でもない気配に首を傾げる
「___なんじゃ」
突然の問いかけに思わず体が跳ねる
私とは反対側を見ていたはずなのに、視線を向けすぎたか
と下を向けば男は寝そべっていた体を起こして私の前に座った
「お主じゃよ」
「いえ、なんでもありません
すみません、この村から出たことがないので知らない顔の人が珍しくて
不快にさせてしまったのなら謝罪します」
「ふむ、なるほどな
お主外の世界を知らないのか」
少し先の東京とかなら知ってます。
とは言えず「まぁ…」と言葉を濁す
「出たいとは思わないのか?」
「どちらとも
この世は地獄、どこに居ようと変わりません
まぁ、ここほど地獄もそうそうないでしょうけど
さて、あなたの質問に答えました。貴方も私の質問に答えてください」
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あべの(プロフ) - そして、この後の囲われた日常が気になるのは自分だけなんでしょうか? (12月25日 15時) (レス) @page25 id: 55582985e0 (このIDを非表示/違反報告)
あべの(プロフ) - 1から3まで並べると尊くて泣きます。 (12月25日 15時) (レス) @page25 id: 55582985e0 (このIDを非表示/違反報告)
箔月(プロフ) - えー、全て神でした (12月25日 11時) (レス) @page25 id: 26079ce184 (このIDを非表示/違反報告)
rune16(プロフ) - 第一特典はと合わせたい神絵でした。遅くなりましたが、コメント失礼しますwww私は第一特典もらってないので是非とも並べたい。いや、並べないといけない第三特典だったとお伝えします! (12月25日 11時) (レス) @page25 id: c9d7379dbf (このIDを非表示/違反報告)
Rin'lan - 天才すぎます!! (12月23日 21時) (レス) @page19 id: 3767ef094f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水菜目 | 作成日時:2023年12月11日 2時