小話 その2 ページ29
『攻防戦』
｢Aちゃん、ご飯できたわよ｣
｢今行きます｣
読んでいた本を閉じてみんなが集まる居間へ移動する
最初は首も座ってなかった鬼太郎は、今では四足歩行をしながら｢あ｣や｢う｣という母音を話すようになった
今日は魚なのか。しかも白身魚で刺身
いつもの食事として魚は珍しくないが刺身はほとんど出ない
｢珍しいですね刺身なんて｣
｢知り合いの方が朝釣りに出たらしくてね、新鮮だから何も手を加えずに出したの｣
｢綺麗な色だ。なんの魚なんですか？｣
水木がそう聞きながら一切れを持ち上げ口に入れたのを確認した岩子は口角を上げ
｢人魚です｣
｢!!!?ｺﾞﾎｯ!!!!｣
｢やっぱり｣
隣で噎せ返る水木の背中を撫でつつ、Aは呆れた表情で2人を見た。そんな顔に2人は''心外だ''とでも言いたげ
｢安心せい、人間のお主らが思っているような効力は人魚にはない
食べ続ければ不老不死に近いものになるが、ここにある分を食べたとしてせいぜい伸びる寿命は50年ほどじゃよ｣
｢何も安心できないんだよな｣
刺身を水木の方に寄せたAだが水木にも｢いらねぇよ!｣と押し返されてしまった
｢あらあら、好き嫌いはいけませんよ？｣
｢いやコレ好き嫌い以前の問題…｣
同じ人魚の刺身をパクパク食べる夫婦。
Aはそっと自分の刺身をゲゲ郎の近くに置き隣の水木を見ると本人の皿は空になっており目を見開いた
｢え、食べました？｣
｢………出されたものは食う｣
｢バカ真面目ですね｣
重い息を吐く
長い攻防戦になったもののさり気ない話題逸らしと岩子に媚び売りをしたAの勝利に終わった。
人間として生涯を終わらせたいAはこれからも似たような事に巻き込まれるが先に水木が食べる(毒味)せいで奇跡的に食べずに人間の寿命で終わりますが水木は寿命が○○年伸びてる
Aが死んだ後に骨は埋められることなく家に置かれたままだし魂の供養もされないので幽霊の姿のままあの家に残り続けることに…
｢地獄に行ってもいいんで解放してくれません？｣
｢地獄に行ったところでワシらは会いに行けるからそれでも良いぞ？｣
｢よーし、前言撤回｣
｢Aさん諦めてください、幽霊族は愛情深いんですよ｣
｢鬼太郎、いい事風に言ってるけど死んだ後まで愛され続けるのは私にとっては辛いよ
成仏させてくれ。連れ戻すな｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 359人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あべの(プロフ) - そして、この後の囲われた日常が気になるのは自分だけなんでしょうか？ (12月25日 15時) (
レス) @page25 id: 55582985e0 (このIDを非表示/違反報告)
あべの(プロフ) - 1から3まで並べると尊くて泣きます。 (12月25日 15時) (レス) @page25 id: 55582985e0 (このIDを非表示/違反報告)
箔月(プロフ) - えー、全て神でした (12月25日 11時) (レス) @page25 id: 26079ce184 (このIDを非表示/違反報告)
rune16(プロフ) - 第一特典はと合わせたい神絵でした。遅くなりましたが、コメント失礼しますwww私は第一特典もらってないので是非とも並べたい。いや、並べないといけない第三特典だったとお伝えします！ (12月25日 11時) (レス) @page25 id: c9d7379dbf (このIDを非表示/違反報告)
Rin'lan - 天才すぎます!! (12月23日 21時) (レス) @page19 id: 3767ef094f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水菜目
| 作成日時：2023年12月11日 2時
