目立ちたくないから 2

65話 ページ15

潔が甲斐甲斐しく俺の体調を気にしているとモニターに甚八兄さんが移りようやく今後の説明が始まった

話は一通り聞いていたので集中するものが1つになっている今ゆっくり深呼吸をして体調を戻していく。向かうチームはもう決まってるし



甚八兄さんの話が終わり支給されているスマホを見るとイタリア、スペイン、イングランド、フランス、ドイツの5カ国が映し出され残り90分以内に自分の行きたい場所に投票していく。というもの
みんなが悩んでいる中俺はスマホを操作して投票を終わらせるとそれを盗み見ていたイガグリが大声を上げた


｢バッ!!取り消せねぇって絵心言ってたのにそんなに即断でいいのかよ!!!!｣

｢え、何、篠原ちゃんもう何処に行くか決めたの？｣


イガグリの言葉に反応した愛空が肩を組んで俺のスマホを覗いてくる。見んな、肩組むな、近づくな


｢ドイツかぁー離れちゃうね。寂しい？｣

｢寂しくねぇし、あと3秒で離れなかったらみぞおち殴る｣

｢ピリピリしてんねぇ、生りっ!!!!!!｣

｢なんか言った？｣

｢…なんでもないです｣


ゆっくりと離れていった愛空を見下ろした後再度スマホに目線を戻す
甚八兄さんに｢迷うならドイツに行け｣と言われていたから選んだというのが半分。そして、1度行ったことがあるからと会う理由がもう半分。
＿＿＿俺がサッカーに興味をなくした場所



｢…はぁ、仮にあの人が居るとしたらドイツ行きたくねぇー｣



深いため息を吐いてドイツを選んだ85分後、ドイツを選んだ他8名と別室へと進む


｢潔、ココ選んだんだ｣

｢篠原、あぁ、俺はココでお前らを蹴り落として1番になってやる｣

｢応援してる｣

｢てか、篠原がココ(ドイツ)選んだの以外だったわ
もっとこう…フランスとかイタリアのイメージだった｣


潔の疑問に答えようと口を開きかけたところで部屋の照明が落とされ会話を切られる
ドイツではその国で最も強いチームであるバスタード・ミュンヘンが参加しその下部組織にいる数名とチームを組んで他国チームと試合をしていく流れらしい

そして今回、ドイツのマスター(指導者)はノエル・ノア


｢…最悪｣


到底聞こえるはずない距離。にもかかわらず彼は俺の発言を咎めるかのように俺と目を合わせてきた(気がする)

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