ヨナ姫の身代わり

14話 ページ14

「私も途切れ途切れでしか聞いたことはありませんが

緋龍王が人間になった時に紫の龍もいたと聞きます
その龍は戦闘向きではなく治療などに徹していたとか……

その者は誰をも惑わし、癒す声
紫龍が四龍の仲間入り出来なかったのは戦場に出なかったからのようです」

「その紫龍って……」

「これは憶測ですが恐らく貴方かと」


髪の裂け目からイクスの目が私を捕らえていた









まさか自分が紫龍だったとは……
森の奥深く、私が倒れていた湖の近くでしゃがみこみ水面を眺めていた

その時パキッと音がした


「誰？」


ハクやヨナ姫だったら歩き方の音で分かる
でもこの足音は分からない


「いやぁ、耳良すぎだから」


数メートル先からフードを被った男の人が出てきた


「…なんでだろう、初めてあったはずなのに懐かしい……」

「……そんなこと言ったら惚れちゃうよー？」


フードから見える顔はニコニコとしていて


「旅人さんなの？」


危険な感じがせず少し世間話をしていた程度
時間を忘れるほどだったのか気づけば夕暮れ時になっていて



「……い、A〜!!?どこー!!?」


みんなが呼ぶ声が遠くから聞こえて我に返る


「やだっ、みんなが呼んでる!!」

「ゼノのことはいいから〜
みんなのところにおかえりA」

「すみません!!また会えますか!!?」


駆け出す途中でフードの男の人を見る
一瞬驚いた表情をしたもののすぐ笑顔にもどり


「会えるよ、すぐ」


「では!!また逢う日まで!!!!」


バタバタとそこかは走り去った


「あの嬢ちゃんに王の資格かあるなら…すぐ」


(そういや…名前聞いてなかった
でもあの人私の名前知ってたよね？)

15話→←13話 四龍の話なので飛ばしてok

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す