小悪魔王子。【桃】 (ページ14)

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色っぽい。ページ14

桃「Aちゃーん、僕口乾燥しちゃったぁ」

『ん？ほんとだ、ちょっとカサついてるね。
　待ってねリップ…』

桃「僕のやつじゃなくて、Aちゃんのやつがいい！
　あの甘い匂いするやつ！」

私が所持してるリップはお察しの通り2本。

望用の薬用と、私用の色付き匂い付きリップ。

こんなの望に塗って大丈夫か？
私が。

ちなみに
共有するのは抵抗ないん！？
っていうツッコミは今更誰もしない。

『可愛くなりすぎちゃうよ？』

桃「僕男の子やから大丈夫！」

『その意味わかんない理論も可愛いね。』

座って私を見上げていた望が
目をつぶって
ん！
って唇をこちらに突き出してくる。

可愛すぎか？

ご要望通り
私のリップを塗ってあげる。

伏せられた長いまつ毛。
スッと通った鼻筋。
富士山型の上唇にふっくらした下唇。

なんて綺麗な顔。

『はい、んまんまして？』

桃「んまんま」

『くっ…！』

望のんまんまが可愛すぎて
クラスメイトは何人かやられた。

私は至近距離にも関わらずギリ耐えた。

桃「どーお？美味しそ？」

耐えられなかった。

思わずスマホにおさめた写真の望は
イタズラな笑顔なんだけど
なんだか大人びた表情に見えて。

その色っぽい表情に
望の成長を感じて胸が熱くなった。