ネガイの代償【地/縛/少/年/花/子/く/ん】

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【さてもさても、ヒトとはまっこと愚かな生き物よ】


地の底から這い出でるような女の人の声が聞こえる。
地面の揺れは大きくなるばかりだ。


【な、何？！】


『す、すっごい揺れるー！』


【しかし喜べ娘。今よりお前は妾のしもべ。散々可愛がってやろう】



謎の声がそう言った瞬間、教室の真ん中が水のような音を立ててへこむ。

その下は真っ暗闇だった。


【来たね、人魚】


【ククク...】


ザバァッと轟音を立てて人面魚が床から現れる。

花子さんは寧々とAを庇うように立ち、Aは寧々の入った水槽をぎゅぅっと抱き締めた。


『【じ、人面魚！！】』


【これが人魚さ。眷属になったヤシロを迎えに来たんだ】

【でも困るな。営業妨害だ】


【邪魔だ小僧】


ドスの効いた声で人魚が言い、花子さんを叩き飛ばす。


【花子さん！】


【弱い弱い。七不思議ごときが】


『っ...』


ぎょろりとこちらを向き、寧々とAを睨んだ。そして驚いたように目を見開く。


【そこの小娘..人間か？人間にしては魅力的な気を纏っておる...】


『ひっ......』


人魚は水槽を持ったAごと持ち上げてまじまじと見つめた。

恐怖で涙がAの頬を伝う。


【どれ、お主も妾の眷属に】


【ちょっと待ってよ】

【俺はまだその子達の願いを一つも叶えてないんだ。連れてくならその後にしてくれない？】


【黙れ！妾に命令するでない】


【へえ、そう。それなら...こっちも力ずくで行くよ】


花子さんが懐から包丁を取り出す。


【小癪な！！】


それを見た人魚が花子さんに襲い掛かろうとすると、目にも止まらぬ速さで走り出した。


そのまま大きく振りかぶると人魚の身体を切りつけ、穴を開ける。


【たかが生まれて数十年の怪異に何故これほどの...おのれ七不思議ィィィ】


戦闘不能になった人魚は捨て台詞を吐きながら地面に吸い込まれていった。

支えをなくしたAは空中に放り出される。


『わ、お、落ちるっ.....』


【Aっ】


Aは水槽を離さないように抱え込んで、痛みを受け止める覚悟をした。

しかしいつになってもそれは訪れない。


【ナイスキャッチ】


落ちてきたAをお姫様抱っこした花子さんがにっ、と笑う。


『花子、さん...？？受け止めてくれたの？』


【あらー...見えてないんだった】


相変わらずAには見えていないのだが。

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