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『得体の知れないもの口に入れない!ぺってしなさい!』


【そうそう!ダメだって...】


「んーふ!んふふーふん!!(いいの!説明して!!)」


【わ、わかったわかった】


頑なに口から出そうとしない寧々は花子さんに説明を求める。

Aはおろおろしつつも、尋常ではない雰囲気に口を挟むことが出来なかった。


(それは人魚の鱗。同じ人魚から取れた鱗を飲んだ者同士は恐ろしい呪いを受ける代わりに)

(非常に協力な縁で結ばれるんだ)


ごっくん


【ヤシローーーー!!!】


『の、飲んだ...飲んだの?!』


鱗を飲み込んだ寧々は俯いたままだ。


【俺飲むなって...呪われるって...】


「いい」


【え?】


寧々ががばりと勢いよく顔を上げる。
その顔は悔しさや悲しさで歪んでいた。


「源先輩と両想いになれるなら呪われてもいいっ!何よ、道具持ってるんじゃない」

「花子さんの嘘つき!!」


『あっ...』


花子さんに向かってそう叫ぶと、残りの鱗を持って女子トイレを飛び出す。

残された花子さんは口を引き結んで立ち尽くした。


『...花子さん?そこに、いるの?』


(うん。いるよ)


『......そんなに寂しそうな顔しないで。寧々ちゃんも勢いで言っちゃっただけだと思うから』


そう声をかけると、花子さんは驚いたようにAを見つめた。


(なんで分かるの?A、俺のこと見えないんでしょ?)


『うーん...なんでだろうね?私もよく分かんない。でも花子さんにそんな顔、して欲しくないな』


(...やっぱり、Aって昔から変わんないね)


『ん?』


(なんでもない!早く水槽用意しなきゃ!)


『水槽??なんで?』


焦ったような字のメモを見て、Aが首を傾げる。

この状況で水槽が必要な理由がさっぱり分からない。


(後で分かるから。とりあえず水槽に水!いーっぱい入れて!俺はヤシロ探す)


『わ、わかった!』


花子さんの指示に従った方がいい。Aはそう判断して水槽の確保に向かう。


その背中を見送った後、花子さんは片手で顔を覆ってぽつりと呟いた。


【...思い出してくんないのかなあ......】

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ミク(プロフ) - お気に入り登録しました、がんばってください (2020年5月23日 14時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - フレアさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにしてくださっていること、とても嬉しいです!今後の展開も見守って頂けたらと思います。更新無理せず頑張りますね。 (2019年3月29日 0時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
フレア(プロフ) - いつも更新楽しみにしています。今後もはのさんのペースを守って無理せず頑張って下さい!これからも応援してます! (2019年3月28日 23時) (レス) id: ed111eeb0b (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - リンさん» コメントありがとうございます!頑張りますね。今後もよろしくお願いします! (2019年3月28日 23時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
リン - 更新楽しみにしています! (2019年3月28日 21時) (レス) id: 6c09da8abb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はの | 作成日時:2019年3月18日 16時

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