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『あのっ、は、花くん!さっきは...酷いこと言ってごめんなさいっ』


Aが謝ると、花子くんは足をぴたりと止める。


【酷いこと?】


『チャラ男とか、言っちゃって...わっ!?』


凄い力で腕を引っ張られてAは花子くんの近くに身体を寄せられた。

相変わらず、暗くてその表情は読み取れない。


【...A、シットしたんでしょ?】


『え?』


【あの子がちゅーされてるのみてさ】


あの子、とは寧々のことだろうか。

いつもの呼び方でないことにAは違和感を覚える。


(この人...ホントに、花くん?)


『は、離して...!』


明らかに様子が可笑しい。
恐怖を感じたAは慌てて身体を離そうした、が背中に回された手がそれを許さない。

花子くんらしき人の指がAの唇をなぞった。


【あまねの代わりに。俺がご褒美、あげるね?】


ちゅ、と音がして顔を背けたAの唇の端に柔らかいものが当たる。

Aが勢いよく身体を押すと、今度こそ二人は離れた。


『やめて!』


【...あーあ、避けられちった】


雲に隠れていた月明かりに照らされて、相手の顔が顕になる。

見た目は花子くんと瓜二つだった。
でも、頬の札の位置や雰囲気が違う。


『あなた...誰?』


警戒するAが問いかけると、少年は首を傾げた。


【ダレって...A、俺とケーヤクしたの覚えてないの?】


『契約...?』


【あ、そっかそっかー!人間になったから忘れちゃったんだね!!】


ぽんと手を叩き、一人で納得している少年の話にAはついていけない。

少年はそのまま一人で話し続ける。


【覚えてないのはさみしーけど、また思い出してもらえばいいよね】


『だから契約って、なんのこと』


【俺そろそろ帰んなきゃ!】

【またね】


Aの話を聞かず、少年はあっという間に消えてしまった。
緊張の糸が切れてAはその場にへたり込む。


覚えのない花子くんとの記憶、花子くんへの感情、さっきの人の話...

いろんなことが押し寄せて、Aは頭がごちゃごちゃになりそうだった。


『......わたしは、なんなの?』



ただ一つ分かったことは

自分は普通の人間ではない、ということだけ。

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ミク(プロフ) - お気に入り登録しました、がんばってください (2020年5月23日 14時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - フレアさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにしてくださっていること、とても嬉しいです!今後の展開も見守って頂けたらと思います。更新無理せず頑張りますね。 (2019年3月29日 0時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
フレア(プロフ) - いつも更新楽しみにしています。今後もはのさんのペースを守って無理せず頑張って下さい!これからも応援してます! (2019年3月28日 23時) (レス) id: ed111eeb0b (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - リンさん» コメントありがとうございます!頑張りますね。今後もよろしくお願いします! (2019年3月28日 23時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
リン - 更新楽しみにしています! (2019年3月28日 21時) (レス) id: 6c09da8abb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はの | 作成日時:2019年3月18日 16時

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