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はぁーっ...と扉に飛び込んだ四人が安堵のため息をつく。
扉の先も先程の階段と同じ風景が広がっていた。
ジリリリリリ
また鳴り響いた電話の音に花子くん以外の肩がびくりと震える。
今度は寧々が電話を取ろうとすると花子くんが先に手を伸ばした。
電話を耳に当てるとコホンと咳払いをする。
【もしもし】
【左腕...あたしの左腕を探してくださいな...】
【あたし毎朝授業の前にお供えをして祠に祈るの。左と右で手を合わせて、今日もみんなが健やかでありますように...】
【急いでね。じきに】
【やあ二番】
花子くんがミサキの声を遮って言うと、電話の声が止まる。
【久しぶり。俺のこと...覚えてるよね?】
数秒の沈黙が続いた。
【...じきに授業が始まるわ】
電話が切れる。
受話器を置くと三人が困惑したように花子くんを見ていた。
【ただのゴアイサツだよ】
「知り合いなの?」
【まー七不思議同士だから】
そんな話をしているうちに再びガコンと砂時計がひっくり返る。
「また腕探しかよ。めんどくせぇな...」
「おい花子!なんか他にねーのかよ!苦手なもんとか...弱点とか...」
【あるよ】
【弱点ならちゃんとある。"神の依代"といって...七不思議に特別な力を与えてる】
【ま、電池みたいなもんかな。それを破壊されると七不思議は弱体化する】
「それだ!!」
光が花子くんの説明を聞いてぱあっと明るい顔になった。
「どこにあんだよ。そのカミの、えーと...ノリシロ!?」
「『依代ね』」
「依代!どこだ!」
光の質問に花子くんは人差し指で上を指して答えた。
【この境界の最深部】
「最深...」『部?』
【そのまんま最も深い場所のこと。恐らくはあの扉のずっと先。この階の一番上...】
高い高い一番上を見上げる。
あと何回、身体を探せば良いのだろうか。
【じゃ、張り切って登るぞー!】
「『オー...』」
それから、階の一番上を目指す四人はミサキ階段の望むまま
右足、左足、胴、目玉、耳...と、彼女の身体を探して進んだ。
途中でおふざけもあったが。
「これで最後...よね」
最後の探し物である頭部を祠に入れる。
「【『終わったー!!』】」
四人でぱちんと手を合わせた。
ゆっくりと扉が開き始める。
終わったことは嬉しいけれど、Aにはずっと引っかかっていることがあった。
(ミサキさんは、身体がないのにどうやって電話をかけたの...?)
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ミク(プロフ) - お気に入り登録しました、がんばってください (2020年5月23日 14時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - フレアさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにしてくださっていること、とても嬉しいです!今後の展開も見守って頂けたらと思います。更新無理せず頑張りますね。 (2019年3月29日 0時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
フレア(プロフ) - いつも更新楽しみにしています。今後もはのさんのペースを守って無理せず頑張って下さい!これからも応援してます! (2019年3月28日 23時) (レス) id: ed111eeb0b (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - リンさん» コメントありがとうございます!頑張りますね。今後もよろしくお願いします! (2019年3月28日 23時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
リン - 更新楽しみにしています! (2019年3月28日 21時) (レス) id: 6c09da8abb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はの | 作成日時:2019年3月18日 16時