検索窓
今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:43,161 hit

24 ページ26

【ふーん】


寧々から葵が居なくなったことを聞かされた花子くんは花札を弄びつつなんでもないような顔で相槌をうった。


「花子くんてば朝もお昼も居ないんだもん。結局こんな時間になっちゃって」


【まー俺も忙しくてね。ケーサツに届けたら?】


「それがなんだかおかしくて...お花も机も、葵の持ち物は全部失くなってるし」

「それにみんなが葵なんて子知らないっていうの」

「Aだって。今日は一度も見かけないのにみんな見てるって言うし...」


【A?】


Aの名前に花子くんがぴくりと反応した。

寧々がそこまで話したところで廊下からドタドタと慌ただしい足音が迫ってくる。


「花子ーーーッッ!!!」


「み、源君!?ここ女子トイレ...」


ダイナミックに登場した光は女子トイレであるにも関わらずズカズカと入ってきた。


【わ】


花子くんの胸ぐらを掴んで思いっきり揺らす。


「テメー!うちの組の横尾と佐藤どこやった!!」


【うわー】「ちょ、ちょっと落ち着いて」


物凄い剣幕で花子くんを責め立てる光に寧々はあわあわと困るばかりだ。


「なんで誰もあいつらのこと覚えてねーんだよ!!」


「それって...!」




【消えた生徒に学園のウワサね...確かにそれなら心当たりがある】


「やっぱりな!テメー...」


「消えたみんなはどこに行っちゃったの?」


光に掴まれた襟を正しながら花子くんが言うと、光が再び掴みかかろうとする。

寧々はそれを制し、花子くんに尋ねた。


【この学園には異界に通じる七つの場所がある】


【あの階段はその一つ。消えた生徒達は異界に連れていかれたんだろう】


「異界...?」


寧々の言葉に花子くんが頷く。


【境界っつってねー。生きた人間が迷い込むと存在ごと消えちゃったりするのさ】


「え?じゃあAは?今日いないのにどうして学校にいることになってるの...?」


【Aは...他の怪異に巻き込まれてるのかも知れない。ミサキ階段にいるって確証がないから】


『そんな...』


寧々はショックを受けた。


「境界...ってのは兄ちゃんから聞いたことがある」

「此岸と彼岸...二つの岸辺を繋ぐ海で。そこは行く宛のない死者と怪異と、誰からも忘れ去られたモノ達の世界だって」


【そのトーリ。博識じゃん少年】


光の説明を聞いて寧々の不安はさらに大きくなる。
寧々は花子くんの制服の裾を握って言った。


「そっ、そこに行った人はもう戻って来れないの...?」

25→←23



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (74 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
85人がお気に入り
設定タグ:地縛少年花子くん
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミク(プロフ) - お気に入り登録しました、がんばってください (2020年5月23日 14時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - フレアさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにしてくださっていること、とても嬉しいです!今後の展開も見守って頂けたらと思います。更新無理せず頑張りますね。 (2019年3月29日 0時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
フレア(プロフ) - いつも更新楽しみにしています。今後もはのさんのペースを守って無理せず頑張って下さい!これからも応援してます! (2019年3月28日 23時) (レス) id: ed111eeb0b (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - リンさん» コメントありがとうございます!頑張りますね。今後もよろしくお願いします! (2019年3月28日 23時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
リン - 更新楽しみにしています! (2019年3月28日 21時) (レス) id: 6c09da8abb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:はの | 作成日時:2019年3月18日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。