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01 トイレの花子さん ページ3

『寧々ちゃーん...ホントに行くの?』


静まり返った旧校舎に呆れたような少女の声が響く。
寧々、と呼ばれた少女は勢いよく振り返って言った。


「行くっ!もうこれしか手がないんだからっ」


『えー、花子さんなんてホントにいるのかな』


「やってみなきゃわかんない。Aは一緒にいてくれるだけでいいから…駄目?」


寧々がAの両手を握りじっと見つめる。
んー、と少し悩んだ後、Aは渋々首を縦に振った。

Aは寧々のお願いに弱いのだ。


やった、とガッツポーズして寧々はAの手を引いて三階へ向かう。

目的地の女子トイレは長らく使われていないせいかじめじめして、薄暗かった。


「よ、よーし...一、二、三番目、だよね」


『う、うんっ。寧々ちゃん気をつけてね』



寧々はこくりと頷き、扉に手を構える。

コンコンコン、三回ノックの音が響いた。


「花子さん花子さん。いらっしゃいますか」


【はーあーい】


しばらくすると、ギイ、と音を立てて扉が開き始める。


『ね。なんか...いた?』


「んー...なにもいな」


【こっちだよ】


「ひっ」


寧々が短い悲鳴をあげる。


「いやっ...」


『寧々ちゃんっ?!』


振り返り、手を振りかぶった。
いつの間に後ろに立っていた少年の顔に寧々の手がめり込む。

それを見た寧々の顔は青ざめていった。


「き、きゃあああああ!!!」


【くふふ...あははは!!!】


笑い声を聞いて寧々はおそるおそる顔を上げる。


【大丈夫?】


少年の顔が目と鼻の先にあり、寧々は思いっきり後ずさった。


「あ、あなたは...」


【七不思議が七番目『トイレの花子さん』はじめまして】


「あなたが花子さん...?!」


面白おかしく笑う花子さんを見て寧々は困惑するばかりだ。

しかし、そんな寧々を見て更に困惑している人物がいた。


『ねえ、寧々ちゃん』


Aの呼びかけを聞いて寧々が振り返る。


「Aっ!花子さん、いたっ!男の子だけど!」


【あれ、もう一人いたの?】


『えっと...?』


花子さんを指さし、叫ぶ寧々を見てもAは首を傾げるばかりだ。

そして、一言こう言った。


『寧々ちゃん。一人でなにやってるの?』


「......え?」


『そこ、何にもいないけど...』


Aは寧々の隣にいる花子さんの身体をすり抜け、腰を抜かした寧々に手を差し伸べる。


『大丈夫?立てる?』


「もしかして、見えて、ないの?」


『え?』

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ミク(プロフ) - お気に入り登録しました、がんばってください (2020年5月23日 14時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - フレアさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにしてくださっていること、とても嬉しいです!今後の展開も見守って頂けたらと思います。更新無理せず頑張りますね。 (2019年3月29日 0時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
フレア(プロフ) - いつも更新楽しみにしています。今後もはのさんのペースを守って無理せず頑張って下さい!これからも応援してます! (2019年3月28日 23時) (レス) id: ed111eeb0b (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - リンさん» コメントありがとうございます!頑張りますね。今後もよろしくお願いします! (2019年3月28日 23時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
リン - 更新楽しみにしています! (2019年3月28日 21時) (レス) id: 6c09da8abb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はの | 作成日時:2019年3月18日 16時

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