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神は鬼を殺さず暴徒を砂状へと化す 五 挿絵あり ※流血注意 ページ7

例え相手がAだからと言って、こっちを攻撃してこないと断言できる状況ではなかった。
 土方は歯痒さに眉を寄せて奥歯を噛み締める。

 煉獄関の闘士の侍が、丸腰のまま恐怖で腰を抜かしてしまっていて、Aがゆっくり近づく。

「このまま人が死んでくのを見過ごすわけにはいかねェだろーが」

 土方は地を蹴り、その侍の元に走っていった。

「よせ土方!」

 戦は焦って叫ぶ。
 Aが侍の元に辿り着く前に土方がなんとか間に合い、彼は侍の前に立って刀を構えた。

 その切っ先は、彼の想う人へ向けられている。

「お前に刃を向ける日が来るとはな」

 血まみれのまま近づいてくる彼女に、土方は引きつった笑みを浮かべる。
 少し前方でAは歩みを止め、刀を突きつけてきた。
 黒い羽織もフードも顔も赤く染まり、髪には血が伝っている。

「……その様子じゃ、聞こえちゃいねーか」

 土方はフードの下から見えるAの目に眉を寄せた。

 虚な目は、意思を失い自我を捨て、ただ動いているだけの機械のようで。
 土方は不快げに奥歯を噛み、目の前の女を睨みつけた。




 しかし、Aは何故か刀を下ろした。
 土方が驚いていれば、Aは彼の元へと一歩ずつ近づいてくる。

 戦と銀時はその状況を見てすぐさま土方の元に走った。
 Aが土方のすぐ目の前まで来て彼に手を伸ばす。
 銀時たちは覚悟を決め、己の刀に触れて抜刀しようとする。

 しかし、Aが土方を傷つけることはなかった。

「!」

 彼女は土方の刀を素手で掴み強く握りしめた。
 そのせいで手が切れて血が流れていく。

「!オイてめっ、何してんだ!」

 土方は驚いて叱責するがAは手を離そうとしない。
 銀時と戦も驚いて、刀に触れたままいつでも抜刀できる状態で足を止める。

「手ェ離せ!おい!聞いてんのか!」

 Aはさらに手に力を入れ、血がさらにあふれる。
 刀を引き抜こうにも、彼女の握る力が強すぎて思いっきり手前に引かなければ抜けないだろう。
 しかしそんなことしてしまえば、さらに彼女の指が切れて出血が増してしまう。
 最悪、指が落ちかねない

 Aに血を流してほしくない土方はこの状況を打開したいが、そうするには武器を捨てる以外に方法がない。

「チッ!」

 土方は舌打ちをしたあと、仕方なく刀から手を離して少し後退した。

神は鬼を殺さず暴徒を砂状へと化す 六→←神は鬼を殺さず暴徒を砂状へと化す 四



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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時

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