神は鬼を殺さず暴徒を砂状へと化す 四 ページ6
斬られた鬼獅子の体躯が地面に落ち、その衝撃で風が生まれる。
その風が黒い羽織のフードを揺らし、一瞬だけその者の顔を見せた。
肩までの黒髪に赤い瞳の女、Aだった。
その目は光を失っていて赤黒く濁っていた。
『!!』
「な、なんで……」
瞬間顔が見えただけだったが、新八たちは驚いて困惑していた。
新八と神楽は星人のことを知っているため、その治癒力でAは体が治ったのだと、予想をつけて飲み込むことはできた。
しかし二人は、Aが鬼獅子を二度斬りつけて残酷に殺した状況を理解できずにいた。
土方と沖田と道信は、瀕死だったはずのAがそこに立っていることに驚き、さらにそんな彼女が鬼獅子をためらいなく殺したことに驚愕した。
銀時と戦は同時に口を開き、大きく声を上げた。
「神楽!新八!
「トシ!総悟!」
『離れろ!!!』
「え……」
二人の指示に名前を呼ばれた新八たちは驚く。
Aは刀を握り直すと、
近くにいた煉獄関の侍たちとの距離を瞬時に詰めて、ためらいなく斬り殺していった。
複数人を合間なく殺していくせいで血の雨が降り注ぐ。
「!!ど、どういう……」
「なんで、なんでAがこんなコト」
血を浴びるAに、新八も神楽も動揺と驚きが隠せずその場に立ち尽くす。
「いーから早く離れるぞ!!」
銀時はそんな二人の手を引いて道信と共にAから距離を取る。
「なんですかィ、アレ……」
「アイツは本当にAなのか。だとしても暴走してるようにしか見えねェ」
沖田と土方も離れるが、刀を振るい赤に濡れる彼女をAだとは信じられずにいた。
ふと沖田が何か思い出したように目を見開く。
「まさかありゃ、黒の死神……」
「え……」
「なんだと」
沖田の呟きに銀時と戦が反応し、土方は眉を寄せる。
神楽は何のことかわからないようだが、どうやら新八は知っているのか驚いていた。
「何アルかそれ」
「……かつて攘夷戦争で突発的に発生した戦場の一つに現れた、死神のように強い人だよ」
新八は苦い顔をして神楽に教え、詳しく補足する。
「その人が歩いた場所には死体が並ぶ。敵対したが最後、死を宣告され地獄に引きづり込まれる……もう今では都市伝説になってるけど」
「俺には、アレがそうとしか見えやせんよ」
浪人達を斬り倒していくAを止めようにも、近づけばその瞬間首を飛ばされるのが容易に想像できた。
神は鬼を殺さず暴徒を砂状へと化す 五 挿絵あり ※流血注意→←神は鬼を殺さず暴徒を砂状へと化す 三
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刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時