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神は鬼を殺さず暴徒を砂状へと化す 七 ページ9

土方が守ろうとした丸腰の侍は、浪人たちがAにやられて顔を青くする。
 へっぴり腰で立ち上がり慌てて逃げた。

「もしかしてあの男、包囲の罠にかけて俺たちを殺すための囮だったんじゃ」

 戦はふと思ったことを口にする。
 彼のいう通り、罠じゃなければ奇襲のタイミングと人数配置があまりにも上手すぎる。
 つまり土方は見事、罠にかかった魚ということになる。

「なっ……」

 土方は自分がまんまと罠にハマってしまったのに気づいて顔を赤くした。

 そんな彼の横を、Aが素早く通り過ぎた。
 逃すつもりなどないのか彼女は刀を構えて、囮になった男に急接近していた。

「ダメだ間に合わねェ!」

 銀時たちはすぐにそちらへ行こうとするが、到底間に合わない。
 Aが侍の背後に行き、地面に影が伸びる。
 侍は振り返り、刀を振り上げる彼女を見て恐怖で固まってしまった。

 ガキンッと硬い金属音が鳴り響く。

「!」

 未だ虚なままのAの目が見開かれた。

「鬼道丸!」

 Aの刀が侍を斬る前に、道信が刀で受け止めていた。
 土方は驚きながらも、助かったと声をもらす。

「おい、おっさん離れろ!殺されるぞ!!」

 だが銀時と戦は彼の命を心配して、銀時が焦って声を上げた。

「Aさんに助けてもらったこの命、彼女のためなら捨てても構いません」

 道信とAの刀はカチカチと音を立てて圧を掛け合う。
 彼女の力が強いのか、道信は汗を浮かべながらも口元は笑っていて。

 長く閉ざされていたAの口が開かれた。

「……どうして」
『!!』

 全員、彼女が言葉を出したことに驚く。
 銀時たちを始め皆が、暴走状態のAは意思を持って喋ることなどないと思っていた。

 未だAの目に生気はなく刀を押したままだが、今の言葉は確かに彼女が心から出したものだった。

「私は……貴方を守った。誓いを立て、鬼の皮を被るヒトを守った」

 Aの口調が普段と少し違っていた。
 彼女は淡々と言葉を投げかける。

「なぜ、お前を殺そうとした奴らの仲間を、殺してはならない?今しがた、私の仲間を殺そうとした男を、なぜ生かしておかねばならない?」

 まるで本当に理由が分からず問うてくる、純真無垢で無知な子供のように、疑問に対する答えを要求した。

「……そんなの決まってますよ」

 道信はフッと笑う。

「アンタに、殺人鬼(おに)は似合わないからです」

 彼の答えにAは目を見開いた。

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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時

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