泥だらけの手でも離さない 一 ページ44
「逃すなァァ!!」
「追えェェェ!!」
大量の浪人たちが沖田たちを襲い、沖田は刀で敵を斬り捨て神楽は霧江を抱きながら蹴散らし、そんな神楽に襲いかかる敵をAが蹴り飛ばす
「またメンド臭ェ連中とつるんでたモンだぜこのガキも。
「Aがいるとはいえ霧江連れて四人一緒じゃ逃げきれないアル。このままじゃ全滅ネ!」
「確かにこの敵の数は囲まれたらマズイね……」
沖田が先陣切って道を開けてAが後衛で守りを固めて逃げ走っているものの、敵の数が多く囲まれれば窮地に陥るだろう
「仕方ない。ここは私とAに任せるアル。私たちが逃げてる間にお前は敵を引きつけるネ」
「何が仕方ねーだ。まるまる俺が任されてんだろそれ」
「女子供は足手まといアル。早くいくネ(オトリに)」
「都合のいい時だけ女子供になってんじゃねーや」
「!神楽ちゃん!!」
後方で敵と応戦していたAが何かに気づいて声を上げる
ビルから光が見え、ドォンと重い音と共に神楽の左足が狙撃され神楽は前に倒れ込んでしまう
「何してやがんでィ!」
「んごご、足がっ!ぶらぶらアル!!」
「神楽ちゃん!!」
Aは焦った様子で駆け寄り傷の具合を見る
自分の服の裾を軽く千切って傷部に巻きつけ止血と応急手当てを素早く済ませた
「奴ら銃まで!」
「ッ!」
Aは後方からの気配に落ちていた刀を握り振り返る
同時に弾丸が襲ってきて刀で弾き飛ばした
「狙撃の対応は任せて!」
「チャイナこっちだ!モタモタすんじゃねェ!」
沖田は霧江を抱えて瓦礫の物陰に走り瓦礫の後ろで身を潜めた
「まいったぜ。だからガキゃ嫌いなんでィ」
「……お前の足手まといになるのだけはゴメンネ。霧江つれて逃げるヨロシ。Aに迎撃を任せれば、霧江を抱えて逃げることもできるはずアル」
「神楽ちゃん……」
「てめーに貸しつくるのだきゃ御免こうむらァ。ガキに後ろからブッスリやられちゃかなわねーんでね」
それに、と沖田は浪人たちの様子を伺いながら眉を寄せる
「Aさん一人に主戦闘を任せたくもねェ」
神楽を置いて逃げるにしろ霧江を抱えていかなければならない
そうなると主戦闘を片方に任せることになる
傷が回復する体質を持つ星人の方が、普通の人間の沖田より戦闘を任せるに適した人物である
確実に逃げるには星人の回復を利用する他ない
しかし沖田は目の前でAが傷つくような作戦を嫌がっていた
泥だらけの手でも離さない 二→←汚れても護らなければいけないものがある 十二 終
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年5月27日 2時