子は母の腕で泣く 四 終 ページ49
夜風に髪を揺らして笑うAを、大切な彼女の一番の笑顔を思い浮かべて、銀時は口元を綻ばせ目蓋を開いた。
「惚れた女に酌してもらえんなら、それが一番いいがな」
足を開き、前屈みになって腰に差した真剣に手を伸ばす。
「女の涙は、酒の
「鎖を断ち切りに来たか。この夜王の鎖から、日輪を……吉原の女たちを解き放つと言うのか」
「そんな大層なモンじゃねェ。俺ァただ、旨い酒が飲みてーだけだ」
「天下の花魁様に、ご立派な笑顔つきで酌してもらいたくてなァ」
銀時は鞘から真剣を抜いて横に構えた。
神威がフッと笑う。
「こりゃあ面白い。たかだか酒一杯のために夜王に喧嘩を売るとは、地球にもなかなか面白い奴がいるもんだね。ねェ、鳳仙の旦那」
神威が後ろから鳳仙の肩に手を置いた。
その瞬間、鳳仙が右腕で払って神威を吹き飛ばした。
轟音が鳴り響き土煙が舞う
銀時が驚いて冷や汗を流していた
しかしケラケラと笑い声が聞こえる。
「おーコワッ、そんなに怒らないでくださいよ。心配しなくてももう邪魔はしませんよ」
神威は広場の巨大な兎の像に座って笑っていた。
「神威。貴様なにが目的だ。わしの命を獲ろうとした次は童を手助けし日輪の元まで手引きした。そうまでしてわしの邪魔をしたいというのか」
それとも、と鳳仙は続ける。
「母を求める童の姿を見て、遠き日でも思い出したか。病の母親を捨ててきたお前が、罪滅ぼしでもする気になったとでも。クク……」
神威は鳳仙の言葉を聞いて少し無言になる。
「……フッ、何を世迷言を。夜王を腑抜けにした女、いったいどれほどの女かと思えばボロ雑巾に縋るただの惨めな女とは。吉原の太陽が聞いて呆れる」
「違うんだよ。俺の求めている強さは、そんなしみったれたものじゃない。例えばそう……」
神威はニッコリと目を細める。
「星影のような女だよ」
殴り合った時の星影を思い返す。
「鳳仙の旦那、アンタが殺せなかった女。誰にも体を売らず、それでいて誰をも魅了する。武舞を極めた武神……そこのお兄さんと、指名が被っちゃったけどね」
神威が銀時を見れば彼は頭を掻いた。
「皮肉だな。血が繋がってても妹を殺そうとする兄貴もいりゃ、血は繋がってなくとも親子より強い絆で繋がってる連中もいる」
鳳仙はフッと笑い、飛び上がって兎の像の上に降りる。
「面白いではないか。その絆とやらの強さ、見せてもらおうではないか」
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刹那＊桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます！いつもご愛読いただき嬉しいです！この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (
レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます！今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい！ (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2023年1月28日 13時
