吉原第二席に鎮座する戦乙女 七 ページ18
星影の名が出てきて晴太は顔を青くする。
「その遊女サンは、噂だと遊郭で体を差し出すことはしないで芸を見せるだけ。でも、その人が魅せるソレは確かに一芸ではあるけど……女の出せる域じゃない、本物の武の舞だとか」
「俺も見てみたいな、その女」
神威はニッコリ笑うが、鳳仙は無言で返した。
「……アレ?珍しい、日輪以外にもお気に入りができたの」
普通に了承されると思っていた神威は少し驚いていた。
鳳仙はククッと笑う。
「お気に入り?違うな……アレは、わしの
「!」
鳳仙の瞳に殺気が宿り、夜の兎が姿の一部を見せる。
神威はそんな反応をされるとは思っていず目を見開いた。
「奴はお前にも他の兎にも、他の鷹どもにも喰わせはせん」
「……まさかアンタが日輪以外に見ている女がいるなんてね」
女としてか、兎の乾きを癒す
鳳仙は日輪の次に、星影に執念を抱いていた。
「どちらにせよ女に心酔してるのは同じか。随分と欲 情に絆されるようになったんだね」
「少し黙れ」
神威は鳳仙の横に来て酌をする。
「酒に酔う男は絵になりますが、女に酔う男は見れたもんじゃないですな。エロジジイ」
ニコニコとして神威が言葉を吐いた。
その瞬間、鳳仙が扇子を持っていた手で勢いよく打ち上げ轟音を鳴らして天井にめり込ませた。
天井に突き刺さった体からは血が大量に流れ落ちて。
「なっ……」
「きゃっ、きゃああああ!!」
晴太は驚いて声が出なくなり、鳳仙の横にいた遊女は恐怖で叫び声を上げた。
「ククッ……貴様らわしを査定に来たのだろう」
「!!」
阿伏兎は鳳仙の言葉を聞いて驚く。
食台を蹴飛ばし鳳仙は立ち上がった。
「気づかぬとでも思っていたか。
鳳仙は着物の上を脱いで上身を晒す。
「吉原に巣食うこの夜王が邪魔だと。ぬしらにこの夜王が倒せると」
筋骨隆々な鳳仙の体は拳を交えずとも威圧を放ち、阿伏兎は冷や汗をかいた。
「あ……あんたの出方次第だ。あんたと言えど春雨と正面から殴り合う気にはなれんだろう。よく考えて行動した方が身のためだ」
「そいつは困るな」
神威の声が聞こえた。
鳳仙の後ろで、彼に殴り上げられたはずの神威が傷一つなく壁にもたれて座っていた。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時