綺麗な薔薇には棘がある 二 ページ4
悲鳴が響き、女が地を蹴り前に踏み込む。
小刀片手にズガァァ!と男たちの間を駆け抜けた。
「ぬしら、薔薇にはそっと触れねば棘が刺さるぞ」
浪人たちは血を吹き出し倒れてしまった。
女はキセルの紫煙を
それにしても、と呟いた。
「日輪を買おうとするのも大概だが、あの星影を手籠にしようなどとは浅はかな男じゃ……アレに近づいてやられる前に、わっちに仕留められたことありがたく思うが良い」
女は以前、「星影」が怒りを見せた場面を見たことがあった。
遊女が客の浪人に暴行を受けそうになっていたところ、星影が短刀で浪人の肩ごと相手の両腕を斬り落としたのである。
そのせいで浪人の仲間二十人以上に囲まれ多対一になったが、百華が手を出す間もなく彼女は全員を一瞬で倒した。
『私の知り合いに手を出すのはやめてくださいな。つい、骨を削いでしまいます』
浪人の泣き叫び声が響くなか
冷たく突き刺すその青い目は
女のしていい目つきではない
人の領域でもない
「アレの不快を買えばーー痛みは倍だったじゃろ」
ただの鬼の目を見て
女、死神太夫「月詠」は星影という獣に恐怖を感じていた。
――
地下吉原の中核の邸宅で、和服を着た白髪の老人は遊女を横に二人並べて酒を嗜んでいた。
「百華を動かしているのか」
彼は前で頭を下げる女に言葉をかける。
「妙な浪人が一匹潜り込んでいるようで。百華の者が一人やられました。相当な手練れ。聞けば日輪を探しているとか」
「珍しいことではあるまい。
女たちが売られ商品として扱われる女の牢獄で、日輪の瞳には諦めも卑しさも憂いもない。
地下にあっても魂が堕ちることはなく、決して真の美しさを失わない。
「この街の女たちは皆、
「……いえ。どうもその浪人、日輪を買おうとしているのではなくあの童に雇われた者らしく」
「日輪を買おうと息巻いていたあの童か。栓なきことと捨て置いたがやはりあの童」
「調べましたところ、間違いないようです。八年前のあの童でございます」
「クク……そうか、どこぞでのたれ死んだと思っていたが。日輪の匂いを嗅ぎつけここまでやってくるとは」
以前、日輪と晴太は吉原から逃げ出そうとしたことがあった。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時