研ぎ澄まされた剣に泥は似つかない 六 終 ページ8
田舎道場の者達は、近藤が悪ガキの少年を匿っているとして近藤の道場に殴り込みに行こうとしていた。
しかしその前に、少年は道場から離れて一人で田舎道場の男達と戦いに行った。
慌てて駆けつけた近藤が見たのは、以前より格段に強い少年だった。
気づけば近藤もその戦いに飛び込んで、血の海と倒れた男達の中で、少年と背中合わせに荒い息を吐いていた。
『ったく、お人好しだかなんだか知らねーが借りを返すつもりがまた借り作っちまった』
少年は近藤に背を向けて歩いていく。
彼の手を見て、近藤はフッと笑った。
『血豆か。何回振った?俺でもそこまではならんかったぞ』
包帯の巻かれた腕に見えるのは、血豆だらけの手。
『血豆じゃねェ。四越デパートの自動ドアに挟まった』
少年は振り返り、変わらぬ無愛想で言い捨てた。
人には決して見せず顔にも出さない。
それが、土方十四郎である。
「野郎は今も昔も頭にゃ剣のことしかねェ」
近藤の言葉に共感するように、Aは柔らかい微笑む。
「
土方が川に手を突っ込んで水の中から刀を切り上げようとする。
「こざかしい!!今さらそんなものが通じるか!!」
北大路と土方は互いに雄叫びを上げ、一撃を放った。
北大路が刀で受け止めるが、土方の刀はそれを破壊して北大路を打ち上げた。
刀と同時に北大路の皿が割れ、ドシャッと川のそばに彼は倒れた。
新八と近藤、Aが土方の元に駆け寄る。
「土方さんんん!!」
「待たせたな」
怪我だらけの土方に近藤は笑った。
「また派手にやられたもんだな」
「あん?これは奴にやられたんじゃねー。間留井デパートの自動ドアに挟まった」
土方はタバコをふかしてそう返した。
一服して、Aに視線を移す。
「A」
「?なんですか?」
「明日からの指導、厳しくつけてくれ」
「え……」
Aは予期せぬ言葉に驚く。
しかし驚きから笑みへ表情を変えた。
「ふふっ、分かりました。手加減はしませんからね」
「上等だ」
(ギリギリの戦いだった。Aを守れるようにもっと強くならなきゃならねェとな……)
勝てたと言っても苦戦してしまって、土方は顔を背けて眉を寄せた。
「土方さん?」
「なんでもねーよ」
「え、わっ……」
土方はAの頭をポンと撫でて彼女は驚いて顔を赤くした。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» あけましておめでとうございます!10個目でも見に来てくださって本当に嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月6日 4時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - あけましておめでとうございます。そしてシリーズ数二桁突入おめでとうございます。今年もぜひ、夢主ちゃんとお兄様の活躍と銀魂キャラたちの奮闘を拝見させてください! (2023年1月2日 10時) (レス) id: 503469204d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月1日 3時