【銀魂】シスコンな兄の尻拭い10 【柳生篇・吉原炎上篇】

親しい相手にも恥じらいは持て　六　終　※下ネタ注意 ページ20

「あんなモテる子でも経験しないんだな。Aって確か27だろ？そんだけあの生活続けてりゃ男に手籠られることもあるんじゃねーのか」

　敏木斎の疑問に銀時は「あー」と少し濁った声を出した。

「モテるつってもそのせいで周りの奴らの目が鋭すぎんだよなー。ヘタに手出せねーんだろ、昔からそうだ。俺は一時期を境に会ってなかったがまだそんな感じみたいだなー」

　銀時はAと一緒にいた昔のことを思い返す。
　松下村塾の子供達に人気で、大人の目も惹いて、行く先々で人を魅了する。

　その結果

　誰か無法者が彼女を傷つけたとき、一斉に多くの人間が復讐に動き出す。

　誰か惚れた者が彼女に告白をしようとしたとき、一斉に多くの人間が妨害に動き出す。

　その反応速度たるや、尋常じゃない。
　皆、鷹のように鋭く目を光らせている。

(アイツに恋人の気がねーのも無理ないな)

　若干同情するが、と銀時はAの恋愛事情に苦笑いした。

「オイ、それより兄ちゃんホントにそっち紙ないの？」

　敏木斎はゴソゴソと懐を漁りながら尋ねた。

「ねーな。紙のかの字もねー」

　銀時は千円札を眺めながら返答した。

(どーすっかなー。コレは使いたくねーな)

「そーいうそっちはどーなんだ？じーさん」
「んーねーな。紙のみの字もねーぞ」

　柳生陳陰流秘伝の書と書かれた巻物を片手に敏木斎は返答する。

(どーすっかなー。コレはヤベーよな)

　銀時と敏木斎は紙を見つけたら分け合うこと、裏切ったら神に誓えよ、などと子供みたいな掛け合いをする。

　少し無言の間ができると、わしゃわしゃという音が二人の個室から聞こえてきた。

「アレ？お前なんか拭いてない？わしゃわしゃ言っとるぞ。紙あるだろ」
「お前の方こそわしゃわしゃいってない？紙あるだろ」

　二人とも音を聞いて互いに疑心を向け合う。

「というかお前がAちゃんの前に出なかったら今頃は楽にケツ拭けたじゃろ」
「それ元凶お前じゃん。お前がAにチン○ン見せなきゃこうはならなかったって」
「でもアレ、Aちゃん意外と大丈夫そうだったぞ。ジジイの死にかけのだから」
「いや死にかけでもキノコだから。立派なキノコだから。自信持てって」

『というか』

『Aにきったねーモン見せた奴なんざ生かして返すわけねェだろーが！！』

　二人が大きく叫び、同時に刀を取って壁を破壊する。

　ドギャッ！！と音が鳴り、互いに敵と邂逅(かいこう)して視線を交えた。

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